闇乃武を警戒して私の外出を禁止する左之助さんや斎藤一、ドクトル・バタフライに文句を言うことはないですけど。しとりまで外出禁止は可愛そうです。
確かに現代だったら世界一のアイドルになるだろうと断言できるほどに、しとりは可愛いですけど。個魔の方、ドンと親分もいるのに束縛するのはダメです。
「久保田さんは変装ですか?」
「気休め程度だけど。なんか話を聞くかぎりだと佐古は私に御執心みたいだしぃ?裏方の泥臭いのも汚ないのも嫌なのよね、私はキラキラしたいの!」
「フフ、久保田さんは女の子ですからねえ」
「ん!しとりも!」
「そうですねえ♪︎」
よしよしと私のお膝の上に頭を乗せて、パタパタと足を動かすしとりの頭を撫でていると「景ちゃんさん、私と四つしか変わらないのに母親だもんね」と呟かれ、何だか珍しいものを見る目で、ジーーーッと見られる。
変な事はしていないと思うけど。
「久保田さんは。二十歳の若妻は嫌ですか?」
「えーっ、嫌じゃないけど。私の周りは野蛮なオッサンと面倒臭そうな二人しかいないもん。食い意地と外国馬鹿のどっちも私はごめんかなあ」
「左之助さん以外はそうですね」
「シャチョーは何か重いわね。景ちゃんさんと何が合ったのかは知らないけど、自分の女房とかオレの女だなんて硬派なシャチョーが公言するって相当なのよ」
そうでしょうか?と考えると確かに出会った当初の左之助さんは愛を囁いてくれたり今みたいに愛情をいっぱい与えてくれる人には見えませんでしたね。
一匹狼。孤高の人間。
そういう感じの雰囲気を纏い、若い女がごろつき長屋にいることにも警戒心を露にしていたのに、気がつけば家の中に入り浸り、寝食を共にしていました。
「景ちゃんさんはシャチョーのどこが好きなの?」
「…手、ですかね。大きくて力強い、復讐を乗り越えて守るために鍛え上げられていく鉄を上回る程に硬く握り締めた拳が私は好きです」
あの強くて頼りになる両の手にどれほど安心して、どれだけ愛を与えてもらえたことか。私は左之助さんに幸せに与えて貰ってばかりで、少しでも彼にお返し出来ているのでしょうか?
「おしどり夫婦っていうか、似た者夫婦?」
「フフ、褒め言葉ですね。ありがとうございます」
「でも、ウソを言わないから分かりやすいのは直した方がいいかもね。景ちゃんさん、尋問なんてされたら直ぐにバレそうだから」
まず、私が捕まる前提で話すのはやめてね?
私は普通の奥さんです、二児の母親になるんです。