某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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左之助さん視点になります。


遺刀、無限刃 破

「だらっ!!」

 

「クソガキがッ!!御宝の価値も抜けもしねえ奴(・・・・・・・)が無限刃を振り回すんじゃねえよ!!」

 

「ハッ、いつの話だ?」

 

その怒声に明日郎の動きが止まり、爆発頭の事を怪訝そうに睨んだ後。無限刃に巻き付けていたぼろ布を引き千切り、右手で柄を握り締めた。

 

頭の上に掲げるような鞘を掴み、銀閃が走る。

 

「この刀はオレんモンだああああっ!!!!」

 

轟々───、と炎が迸った。

 

明日郎の宣言と共に炎を纏い、鞘から引き抜かれた鋸刃状の打刀。剣心の持つ逆刃刀の兄弟刀、二代目人斬り抜刀斎の振るっていた炎の妖刀が業火を撒き散らす。

 

刹那、明日郎と志々雄真実が重なって見えた。あんな人の女房を寝取ろうと考えるヤツと一緒にしたらアイツが可哀想だから止めてやるか。

 

「抜けるのか、あの坊やには」

 

「……さっきから気になってんだが志々雄の刀はアイツ以外に抜けねえ代物なのか?」

 

「曰く付きの刀さ。昔、あの方の刀を盗もうとした輩が炎に喰われたことがある……あんな子供に引き抜けて、況してや使いこなせる代物じゃないはずだが」

 

「(オレみたいに妖刀に耐性があるか、それとも本当に無限刃が明日郎の事を気に入っている以外に分からねえってことか)」

 

炎を纏う刀と鉄扇。

 

爆発頭にしてみりゃ自分なら抜けると思っていた物を、いきなり目の前で当たり前のように引き抜かれているわけだが。

 

明日郎、お前はどうする。

 

そのままソイツを焼き斬るか────。

 

「て、テメェなんぞに使いこなせるか!」

 

「残念!僕もいるんだよね!!」

 

「壱の秘剣……だっけか?」

 

爆発頭が鉄扇に仕込んでいた針を纏めて一気に飛ばしたが、景の鞄を開き、鉄扇のような半月ではなく円形に広がる鉄扇を拡げる。

 

「っそがぁッッッ!!?」

 

「そうだ。思い出したぜ、コイツは焔霊だァ!!」

 

「ついでに特製護謨(ゴム)弾も食らえ!!」

 

煌々と輝いて空気を焼き斬って燃え盛る斬撃が爆発頭の肩に食い込み、一気にアイツの身体を切り裂き、明日郎はそのまま返す刀で横腹を斬り───否、刃筋ではなく峰でぶん殴っている。

 

鞄の側面を構えて、黒い鞠を叩きつける。

 

あとで景に何なのかも聴いとくか。

 

「峰打ち……はあ、闇乃武もおしまいだね。あんな坊や一人、二人に負けてしまうとはね」

 

「婆さん、アイツらはあんなじゃねえよ。明日郎と阿爛は今を生きる文明開化の子供だぜ?古臭いもんは残してえなら新しいものも受け入れな」

 

そう言ってオレは気絶した爆発頭を踏みつけ、刀を突き上げて勝利宣言を行っている明日郎と、鞄を抱き締めながら「し、死ぬかと思った…」と呟く阿爛の頭を掴み、ワシャワシャと撫でてやる。

 

「上出来だぜ、お前ら」

 

「「……ッ、当たり前だ!!」」

 

「そんじゃ帰るか」

 

オレの言葉に刀を鞘に納めた明日郎と黒い鞠を拾っていた阿爛の二人は何かを思い出したのか。顔を見合わせると婆さんに近付いていく。

 

───すると、二人は財布を突き出した。

 

「お婆さん、どうぞ」

 

「持ってけ!」

 

「負けたヤツに施しか……随分と嘗めてるね」

 

「チゲえよ。オレと阿爛の貯金、合わせて一千万円!コイツ渡すから旭の身請けさせてくれ。もうアイツはアンタらと居たくねえんだ」

 

「僕からも頼みます。これは三人で生きていける貯金も含めて集めていたお金ですが、旭が何の憂いもなく日向を歩けるように彼女を僕達にください」

 

…………これが、たまに景や嬢ちゃん達の話す「愛の三角関係」ってやつか?と思いながらも婆さんに視線を移すと溜め息を吐き、契約書を明日郎に差し出した。

 

「持っていきな。もう旭は自由だ」

 

「ありがとよ、ばあさん!」

 

「ありがとうございます!」

 

旭も十分に愛されてるじゃねえか。

 

チラリと物陰に隠れている二人に大事に思われていることに気付いていなかった旭に話しかけると、顔を真っ赤にして小声で唸っていた。

 

「どうするよ、旭。どっちも良い男になるぞ?」

 

「バカの癖に、バカの癖にぃ…!」

 

変装してまで着いてきてるくせに良く言うな。

 

オレも景に会いたくなってきたな。

 

 

 

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