二瓶鉄造という明治時代に於いて最強とも言える熊撃ちと喧嘩していた不破信二は「久々に命の危険を感じた」と左之助さんと楽しそうに話しながら、ゴクゴクと一升瓶丸ごと一本のお酒を飲んでいる。
そういうのは良くないから止めて欲しいです。
しかし、左之助さんも銃弾を避けるコツを聴いている当たり。やっぱり西部に居たとき、雷君の指弾を受けたことを悔しがっているのでしょうね。
流石に銃弾を見て避けるというのは無理だろうと思いますけど。左之助さんだから、いつの間にか出来ているようになっているかもしれませんね。
「糸色、お前って未来予測出来るよな?」
「え?あうっ!」
お摘まみの目刺しを机に置いた瞬間、ペチンといきなり私のおでこに飛んできたものを避けることも防ぐことも出来ず、そのまま素直に受ける。
まあ、そもそも避けることも防ぐことも私の貧弱すぎて脆弱すぎるひ弱な身体じゃ出来ないですし。なにが飛んできたのかと涙目になりながら床を見るとしとりの金平糖が転がっていた。
「食べ物で遊ぶんじゃありません!」
「オレの女房に何しやがるッ、身重だぞ!!」
「……すまん。また、忘れてた」
全く、この人は本当に学習しない人ですね。
少し呆れながらヒリヒリとするおでこを擦っていると私達の声がうるさかったのか。ドンと親分の尻尾を掴んだまま居間にやって来たしとりに近付く。
「どうしたの?しとり」
「んぅ…しとりもあそぶぅ……」
「フフ、しとりはまだ寝ましょうね。ほら、ドンと親分も尻尾を引っ張られて痛そうだから優しく離してあげて?」
私のお願いに頷いて尻尾を離したしとりの足元で大の字になっているドンと親分の二匹に「寝室に行きましょうか」と告げ、目元を擦ろうとするしとりの手を止め、手拭いで拭いてあげる。
「左之助さん、先にお休みしますね。不破さんは飲みすぎないように」
「お休み、しとり、景」
「分かってるつもりだ」
そう言って笑う左之助さん達に小さく手を振り、トタトタと薄暗い廊下を少し歩き、寝室の戸を開けて乱れた布団を直してしとりと同じ布団に入り、ドンと親分も自分の寝床を踏み整えて丸まり、また眠りはじめる。
「一緒に寝ましょうね…」
「んぅ…」
トントンと布団越しに彼女のお腹を優しく一定の音程で優しく叩き、眠りやすいようにしていると静かに寝息を立て始めた彼女の寝顔を眺めながら、ゆっくりとお腹を傷付けないようにあお向けに寝転ぶ。
もう少ししたら、しとりはお姉ちゃんですね。
二人とも元気に健やかに育って下さいね。