「おう!良いもの獲ってきたぞ!!」
「ん!にへー!」
「ぬはははっ!嬢ちゃんは本当に気後れしないな!良いぞ、俺のとっておきを食わせてやろう!」
「ん!ん!」
そう言うと二瓶鉄造は大きな雑嚢から竹皮に包まれたお肉を取り出していく彼の近くで、キラキラと楽しそうに目を輝かせるしとり、その近くでお肉にヨダレを垂らしているドンと親分の首輪を掴み、後ろに下げる。
お肉をお盆に受け取っていき、いそいそと台所に運ぶ間も二匹はジッと私の運ぶお盆を見上げ、お肉を貰おうと見上げている。
でも、夕御飯まで時間がありますから。
「二瓶さん、すみません。こんなに」
「何、気にするな。俺の魂までも勃起する男と出会わせてくれた感謝の印だ。しかし、あんな化け物みたいな男が本当に存在するのはな」
「それには同意します」
「あの髭にも聴いてきたが身重のお前には滋養強壮に効く熊の血をやろう!」
「うっ。い、良いです…」
ムワッと漂う生臭さと脂の臭いに吸血を断ると私の後ろにいたパピヨンが瓶詰めの熊の血を飲んだものの、すぐに「賛の血の方が旨いな」と離れていった。
あの子は本当に自由ですね。
「ぬはははっ。やはり若者はあれぐらいヤンチャな方が良いものだ!!さて、お待ちかねのとっておきだぞ、嬢ちゃん」
「ん!」
「熊の腹腔に詰まった血を小腸に詰めて作った血の腸詰め!それから熊の牙と爪を研磨し、作ったお守りも身に付けてみろ!」
「おー!」
ジャラリと紐に通されて作られた熊の牙と爪の首飾りに目をキラキラと輝かせるしとりの反応が嬉しかったのか。二瓶鉄造は次々と余すところなく使われる熊の食材を私達にプレゼントしてくれる。
「腹減った~」
「うげっ、この靴って」
「二瓶さん、また来てるのかな?」
「高祖母様、お野菜を買ってきました」
もう仕事の終わる時間になってきたのかと顔を時計に向け、賛さんに「今日は熊鍋をしようと思うので、ガスコンロを貸して貰えますか?」とお願いするとスカートの裾を託し上げ、ガス式の据え置き型コンロを貸してくれた。
隠匿術。いわゆる物隠しの技術も彼処まで鍛えると魔法のように思えるものですね。しとりも真似しようとしていますし、私もやってみようかな、なんて。
「賛さん、熊肉は少し厚くても大丈夫ですよ」
「こうですか?」
「はい。お上手です♪︎」
「……私がお肉を切り分ける間に一皿分を切り終える高祖母様に言われると不服でございます。何故、料理の瞬間だけその様に正確に?」
「フフ、慣れと経験ですね」
まあ、その二つに含めて「料理のスキル」も相俟ってどの様に切って調理すれば最高の状態で、みんなに美味しく食べて貰えるのかも分かります。