「ん!んーっ!!」
「HAHAHA。しとり君は本当に元気だね」
ドクトル・バタフライが自分の研究所の敷地内に作ってくれた跳び箱や滑り台、ブランコで楽しくドンと親分と一緒に駆け回っているしとりの笑顔を楽しみつつ、ゆっくりと積もる雪に突撃し、上半身を積雪に突き刺して、ピクリとも動かなくなった彼女達に笑ってしまう。
数分ほど動かなかった分厚い着物を着込み、雪沓を履いていたしとりが積雪を吹き飛ばして、ケラケラと楽しそうに走り回っている。
「ん!母ちゃんみて!」
「フフ、雪まみれですね。風邪を引いたら大変ですから、暖かいものを飲みましょうか」
「ぷあっ…!もっかい!!」
「はいはい。熱いから気を付けてね?」
「ぬくぬく!」
ハチミツを混ぜた生姜湯を美味しそうに飲むしとりの顔や頭にかかった雪を優しく払い落として、薄く赤みを帯びた頬っぺたを両手で包んであげる。
ドンと親分にも火傷しないように温くしたお水を上げ、背中や頭に掛かっている雪を払ってあげようとした瞬間、二匹とも同時に身体を揺さぶり、雪を払う。
……しとりがまた雪まみれねえ。
「ん!またいってく!」
「行ってきます、です。左之助さんの言葉遣いは真似しても良いですけど、お母さんの言葉遣いも真似してもらえると嬉しいです」
「わかったです!」
「……ですはなくて良いですよ?」
私の言葉を聞き終わる前に駆け出したしとりは破壊された積雪の塊をまた積み直しているドクトル・バタフライに突撃し、その背中によじ登り始めた。
左之助さんより大きいから登りたくなるのかな?私としては殿方の身体に、そうも大胆に触れるのは宜しくないと思うわ。
ドクトル・バタフライは世帯者だから大丈夫だけれど。同世代や少し年上の男の子にそんなことをしてしまったら、しとりの天真爛漫で裏なんてなにもない笑顔に魅了されて、とんでもないことになる。
「景、ありゃあなんだ?」
「あ、お帰りなさい。左之助さん……あれは雪像ですね。雪を自分の好きなものに形を整えて作る芸術品で、あそこに並んでいる雪だるまはしとりが…」
「ゆきだるま?……確かに達磨みてえだな。でもなんで玉を二つ作ってるんだ?」
「え?」
ああ、そういえば昔は首の部分も雪で押し固めるのが普通でしたよね。つい、前世の時と同じように作ることを教えてしまいたした。
……まあ、可愛いのでセーフですね。
「でも、しとりの力作ですよ?」
「それなら仕方ねえか」
私の言葉に納得してくれた左之助さんに、ほうっと白い吐息を吐いて彼の冷たい顔をさっきしたように両手で包んであげ、ゆっくりと抱き締める。
「……なにかあったのか?」
「フフ、なんでもないですよ♪︎」
そう、ただのスキンシップです。