某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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壬生の小狼 序

ドクトル・バタフライの研究所に通院している途中、しとりに新しいお友達が出来ました。なんでもお父さんが警官らしく、こっそりと巡回を尾行しているそうです。父親の仕事が気になるのは子供特有の事ですね。

 

しとりより年上の男の子です。

 

「つとむくん、すごいね!」

 

「………そう?」

 

「ん!母ちゃんあそんでいい?」

 

「えぇ、いいですよ。でも遅くならないようにね?」

 

「ん!いこ、つとむくん!」

 

トタトタと歩いていく二人の背中を見送りつつ、物陰に隠れて私の事を静かに見下ろしている斎藤一に冷や汗を流しながらも、恐る恐る振り返って「な、なにかしてしまいましたか?」と不安げに問いかける。

 

「その腹で余り雪道を歩くな。せめて相楽か力の強い男手を用意しておけ。それと、努にお前達の娘を会わせるのはやめろ。アイツは悪戯好きだ」

 

その言葉に私は漸く彼の事を思い出した。

 

藤田努。

 

斎藤一(改名後の藤田五郎)の子息であり、陸軍幼年学校に入学している筈ですが、この世界だとまだ幼年学校には入学していないのでしょうか。

 

「…三歳の子に手出ししませんよね?」

 

「阿呆が。そんなことをしたら士道不覚悟で切り捨てるに決まっているだろう。───だが、努も無駄に肩肘を張らずに話せる相手は必要か」

 

「緋村さんや左之助さんみたいに?」

 

「……ヘビ娘が、虎視眈々と獲物を狙い、絡み付いたら二度と離れん性格は健在みたいだな」

 

「えっ、そういう認識だったんですか?」

 

思わず、斎藤一を見上げる。

 

「自分の行動を思い出せ。町の破落戸を色香で落とし、日本の危機を救いつつ、日本の中枢にまで影響力を持つ複数の組織に糸を張り巡らせ、今では日本の交易の大多数を従える商会の社長夫人。加えて言えば、妖怪さえも惑わす。お前ほど危険な存在を俺は知らんな」

 

「(端から見ると事実だけど。全部、偶然とか色々なものが重なっているように思えるんですが、まさか緋村さんにも同じことを思われて……?)」

 

「……公道の真ん中で悩むな。手だけは貸してやる、さっさと蝶野のところで診察を受けろ、あと腹を守るばかりではなく他の場所も暖かくしておけ、時尾も手足の冷えに悩まされているからな」

 

さっきまで高圧的に接していたのに、いきなり優しくするのはギャップ萌えを狙っての行動なのかしら?と思いつつ、斎藤一に手を借りて、丘の上に建つドクトル・バタフライの研究所へと向かう。

 

しとりは悪戯……落とし穴とかだったらどうしよう。流石に女の子だからしないわよね?

 

 

 

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