今朝方、京都に到着したという四乃森蒼紫。
「……………………」
「凛々しい御姿です、蒼紫様」
その彼に左之助さんの所在地を聞こうと探していたとき、巻町さんの部屋の襖を見つめる四乃森蒼紫、襖の出来映えを褒め称える般若を目撃し、そうっと私は視線を逸らしてしまった。
い、いや、私は別に悪いことはしていないけれど、自分の絵を見つめる人を眺めるのは良いことじゃないと思ったのだから仕方ないもの。
そう一人で納得した私は京都警察署にいるという左之助さんを迎えに行くことにした。それに四乃森蒼紫がいるということは斎藤一も警察署にいるはずだ。
ダイナマイトの予備を渡しておけば、左之助さんが外しても安心できる。いそいそと草履を履いて、「葵屋」の厨房を借りて作ったお弁当を抱え、左之助さんの待っている警察署へと向かう。
トタトタと遅く走っているのかも微妙な足取りで警察署に到着する前に息が絶え絶えになり、フラフラと歩くことも難しいほどに頭が痛み始める。
た、体力の無さも改善しなくちゃダメだわ。
自分の貧弱な身体を無理やり起こして、ゆっくりと人混みの中を歩いていると神谷さんと明神君を見つけ、声を掛けようかと思ったけど。
これから緋村剣心に会いに行く事を知っているため、グッと口許を噤んで気付かれないように人混みに押されながらも掻き分け、なんとか警察署の前まで辿り着くことに成功した。
「な、なんとか…はあっ…たどっ、ひぃ…」
「阿呆が。御庭番衆を雇った理由を忘れたのか」
「…ひぃっ…へう…げほっ…」
「全くその体力では逃げることも儘ならんな」
警察署の扉を開けて出てきた斎藤一に腰を掴まれ、俵のように運ばれながら警察署内の通路を抜け、何故か牢屋に……嗚呼、そういえば左之助さんも何故か牢屋に入っていたんだっけ。
「左之助さん!」
「うおっ!?な、なんで此処に景がいるんだ。……テメェ、細目野郎、また何か企んでやがるのか!」
「違う、違います、私が会いたくて…」
「…………なら、仕方ねえな」
そう私は左之助さんに会いたかったと伝えると。どこか照れ臭そうに左之助さんも私を抱き締めてくれた。思えば左之助さんとは数週間ぶりに会えたのだ。
こうして抱きついてしまうのは仕方ないことだわ。
「あ、そうだ、これを渡したくて」
「弁当と……なんかの筒?」
「ダイナマイトです!」
「だいなまいと」
「ソイツはお前のために爆弾を作ったんだよ。全く、政府が護衛を着ける意味も、反政府がお前の女房を狙う理由も分かって、おかげで此方は大変な事態になっている有様だ」
斎藤一の言葉に申し訳無く思いつつ、そうっと斎藤一にも予備のダイナマイトを差し出すと「阿呆が。俺に渡したところで使うかも分からんぞ」と怒られてしまった。───けれど。こうして準備しておけば、何かあったときに役立つ筈だから!
備えあれば憂いなしです!