「ん!母ちゃんいた!」
ブンブンと右手を振って笑うしとりは努君と手を繋ぎ、此方に向かって走ってきているのが見えた。随分と楽しそうに手を握っているわね。
しとりにとっては努君はお兄ちゃんですし、そういう人と遊べるのは嬉しいのかも知れない。ただ、左之助さんが迎えに来てくれたタイミングに、仲良く手を繋いでいるところを見せるのは失敗です。
「景、誰だあのクソガキは」
「あのクソガキは俺の息子だ」
じ、自分の子供をクソガキ呼びするのは良くないのでは?と思いつつ、父親同士の口論に口出しできず、私は仲良く此方に向かって歩いて来るしとりをお出迎えするため、ドクトル・バタフライの研究所の玄関に向かう。
「お帰りなさい、しとり」
「ん!ただいま!」
「努君もしとりと遊んでくれてありがとう。寒かったでしょう?」
「……いえ、僕も楽しかったので…」
「しとりもたのしかった!」
フフ、二人とも本当に仲良くなったんですね。
ゆっくりと二人の身体に付いた雪を払い落としてあげ、手洗いと嗽をするように伝えて、私は二人のために台所に置かせて貰っているヤカンに水を満たし、ガスコンロで水を温める間、生姜を卸し金で擂り卸す。
コトコトと沸騰し始めたところで火を消し、お湯を湯呑みに注いで生姜を湯呑みに入れ、お湯と馴染ませるように混ぜる最中、ハチミツを入れる。
甘みも出るので子供でも飲みやすいです。
「熱いから気をつけてね」
「ん!」
「……助かります」
二人は台所内の端に置かれていた椅子に座り、ゆっくりとハチミツ入りの生姜湯を飲む。左之助さんと斎藤一は怒っているので甘いものが良いでしょうか?
……無難にコーヒーにしておきましょう。
斎藤一に溜め息を吐かれる自分の姿を想像してしまいました。左之助さんは慰めてくれるでしょうけど、あの人は絶対に見下して溜め息を吐きます。
「糸色、その顔に出しやすい性格をどうにかしろ」
「景はウソが下手だから良いんだろうが」
「……私を挟んで口論するのはやめませんか?」
そう言ってみるものの、二人は子供もいるのに口喧嘩を繰り返している。しとりや努君に嫌われてもいいのかな?と思いながら、二人の事を見ると楽しそうに二人だけで話していました。
「左之助さん、斎藤さん、子供も見ているのに口喧嘩するのはダメです。あと、身重の私を挟んで喧嘩するのは本当にやめてほしいです」
「悪い、ごめんな?」
「以後、気を付けよう。すまないな」
しっかりと謝れるのは良いことですね。