某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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熊の化け物 破

「しとり、もう寝る時間ですよ?」

 

「やっ!」

 

「むう、どうしてですか?」

 

「……父ちゃんいしょがいー」

 

「あらあら、仕方ないですねえ」

 

しとりの珍しい反抗があまりにも可愛くて、その反抗の理由も可愛くて眠いのに我慢している彼女の頭を優しく撫でてあげると、しとりも嬉しそうに目を細め、私の膝の上に頭を乗せてくる。

 

お腹の音を聞いているのかな?そう思いながら寒くないように布団を掛け、ゆっくりと頭を撫でているといつの間にか小さく寝息を立てていた。

 

寝る子は育つ。

 

健やかに育ってくれるだけで、お母さんもお父さんも嬉しいから良く寝て良く遊んで、もう少し大きくなったらお勉強もしましょうね。

 

ふと視線を感じて窓の方を見ると、熊がいた。

 

「わあ、大きな熊ですね」

 

「言っている場合じゃないでしょうが!」

 

『全く、お前は時が経とうと変わらないな』

 

ぼんやりと窓を破壊しようとした熊に個魔の方が黒衣を振るい、私の隣に蛍火色の光を纏って現れた時代樹の精霊の展開する結界によって熊の侵入は防がれる。

 

……あ、そうか。危なかったんだ……。

 

「人間、突然の出来事にフリーズすることはあるけど。母者はビックリしすぎて思考まで止める癖は直そう。私も嬢ちゃんも手伝うからさ」

 

『二児の母になるのだ。危機感を持て、馬鹿者』

 

「す、すみません」

 

二人の言葉に気持ちが沈み、しとりを守るために箪笥に仕舞っていた懐剣を取り出して二人の張っている結界に加勢し、三重の結界を展開する。

 

「……一先ず侵入することはない。しかし、他の家屋を無視してこの家に来たあたり、あのホムンクルスは確実に誰かの指示で動いている」

 

「どうしましょうか。私は戦えませんし」

 

『精霊の私に祓う力はあっても化生以外の化け物を殺す力は宿っていない。況してや身重の糸色を残して動くなど我らには出来ぬ事だ』

 

私は個魔の方と時代樹の精霊の二人の言葉を聴きつつ、私達に出来る事は籠城する事だけだと理解している。ただ、この家を教えた相手は確実に実在し、おそらく今回の相手も私を狙っているのでしょう。

 

いくら私を狙っても知識だけですし。

 

ドクトル・バタフライのように相応の技術や理解力が無ければ無意味だと私が思っていても、私を狙う人達は自分なら制御できると高望みしている。

 

「左之助さんはまだ山中ですよね」

 

「嬢ちゃんにまた撃盤を使わせるのも良いが、あまり多用すると他の個魔に見つかって時期を早めるかも知れないからね」

 

『問題ない。既に相楽左之助は此方に向かっている、白面の者の分身とはいえソレを退けたあの男に、此度の危機を報せる妖怪もいるようだな』

 

確かに、かなりの偉業なのでは?

 

 

 

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