数日前の出来事を内々に処理することは出来ず、ホムンクルスや錬金術に関連する出来事をドクトル・バタフライは分かりやすく警察署の署長に説明したところ、卒倒して泡を吹いてしまったそうです。
まあ、その反応は仕方ないのかも知れない。
井上君はホムンクルスより錬金術という卑金属を作り替える技術や製法に興味を持っているようですが、これまでの錬金戦団の仕出かした事件を伝えると素直に諦めてくれました。
やはり三人とも素直な子です。
流石に錬金術まで覚えたら大変なことになるでしょうし。あの判断は英断だったと自分でも思いながら、お皿に切り分けて並べた熊肉の燻製を居間に運ぶ。
「お待たせしました」
「気にするな。俺もメシは好きだ」
「ん!しとり、くまさんすき!」
「ぬはははっ。俺の娘達もこれぐらい素直だったら良いんだがな。全く、アイツに似て怒ったら手がつけられんヤツばかりだ」
モチャモチャと熊肉を燻製にしたものを二瓶鉄造に出して、お酒のお摘まみに合うかどうかを訊ねつつ、酒が飲みたいという二瓶鉄造に「それはご自宅でしてもらえると助かります」と伝える。
私の言葉に不満そうにへの口になる二瓶鉄造の隣で燻製をモチャモチャと食べているしとりに湯呑みに淹れたお茶を出してあげ、よく噛むように言う。
チーズの燻製も試したいけど。
まだ、明治時代にチーズは販売されていない。いえ、北海道なので存在しているには存在しているものの、販売するにはもう少しだけ時間を必要としている。
「しかし、塩漬け以外の食い方か。アイヌの男に凍らせた鮭を貰ったことはあるが、これも良い味だ。日持ちする食料は猟に出るものにとって助かる」
「……あの、食べすぎでは?」
「ぬはははっ!気にするな!!」
「ん!いっぱいたべる!」
あの単語は言わないようにしてくれていますが、たまに言いそうになっているけど。
「しとり、お口が」
「んむう……ん!ありがとー!」
「おっ、お礼を言えるのは偉いぞ!」
「ん!にへーもいっぱいたべたえらい!」
「ぬはははっ!!男は食ってなんぼよ!」
二瓶鉄造の言葉に私も頷く。確かいっぱいご飯を食べるのはいいことですからね、私もドクトル・バタフライにお腹の子のためにもっと食べるように言われていて、少しずつ食べる量を増やしたいです。
「ドンと親分も食べますか?」
そう寝床にいた二匹に聞けば尻尾を振り、燻製のお肉を齧る二匹にしとりは笑顔を向け、個魔の方は「私はスモークよりチャーシューが好きだったかな」としとりの影から頭を出して、私に言ってくる。