ドクトル・バタフライの武装錬金「バタフライエフェクト」は広範囲に及ぶ
擬似的にテレビの再現、電話や幻覚など多岐に渡って自由に効果を発揮する彼の武装錬金は現段階に於いて正しく最優の武装錬金なのですが、本人は実力を半分も出さずに戦っている。
そして、日本のホムンクルスを統括して人を襲う被害削減のために動きつつ、この『統一された世界』にやって来た転生者とコミュニケーションを取り、情報提供を行う等々。本当に楽しそうに過ごしている。
「おや?どうしたのかね、糸色君」
「ドクトル、たまに思うんですけど。貴方は何を思ってホムンクルスに成ったんですか?」
「ふむ、その質問は初めてだ。私のホムンクルス化した理由は二つ。一つは親友を助けるために、もう一つは私の『特典』によって生まれる新しい転生者の人生を見届け、私の人生を完遂する事だ」
「人生の完遂、ですか?」
「まだまだ若人の君には難しいかも知れないが、私は全てを知りたいんだ。終わってしまった物語の先、紡がれざる狭間のお話、その刹那の瞬間を生きる君達の姿を見続けていたいんだ」
───要するに、人生の最期を見届けたい。
私達の死後、生まれる子供のそのまた子供達、そこから続いていく人達の話を見ていたいというわけですね。また、なんとも面倒臭い事を考えていますね。
「じゃあ、約束です。ドクトル、どうか私と左之助さんの子供達を見守って下さい。退屈に思うこともあるでしょうが、世界に、物語に、貴方は関わっても良いんです。此処は自由に生きていい場所なんです」
「……フ、そうだね。君の言う通りだ、私はいつものように友人の危ないところを助ける。通りすがりの
にこりと穏やかに笑うドクトル・バタフライの背後にしとりが現れ、よじよじと彼の身体を登り始めた。やっぱり女の子なのに殿方との距離感の無さは注意するべきなんでしょうが、しとりを怒るのは苦手です。
叱って躾る。
そういうこと自体が苦手なのもありますが、まだ小さなしとりを叱って抑制してしまうのは母として嫌だというのもあります。
「ん!おひげ!」
「HAHAHA。しとり君、あまり男の背中に抱きつくのはいけないことだ。私は愛する妻に全てを捧げているから問題ないが、お友達の男の子にはしてはいけないぞ?」
「ん!わかった!」
「聞き分けの良い子には金平糖をあげよう」
「ありがとーござます!」
「お礼を言えて偉いですよ、しとり。ドクトルも注意してくれてありがとうございます」
「何、大人として当然の事だ。我が息子も一歳、おそらく数年後の妖逆門に参加するだろう。その時、今の抱き付き魔のしとり君と出会ったらどうなる?」
どうなるって、どうなるんでしょうか?
「ハッキリと言おう。男はチョロい。可愛い女の子に抱き付かれたら『あれ?こいつ、俺のこと好きじゃね?』と勘違いする…!」
「あの、流石に冗談ですよね?」
「左之助君もそうだろう?」
……どうしましょう、否定できませんね。