無事に人形の武装錬金と錬金戦団の人員を捕まえることに成功した斎藤一とドクトル・バタフライの二人によって現在進行形の尋問を受けているでしょうが、私としとりはお留守番です。
「すみません。ススハムさん」
「気にしなくて良いわよ。相楽カッケマッは友達だし、武装錬金なんていう物を使って幼女を狙うカスはドクトル達がボコり倒してくれるわよ」
「ん!ぼこぼこ!」
シュッシュッとパンチの真似をするしとりに「暴力は悪いことですよ、しとりは人を傷付ける子にはなってほしくありません」と伝える。
しとりは左之助さんに似ているから反抗期に突入して、きっとヤンキーみたいになっちゃうんです。それはもうグレて怖い女の子になっちゃうんです!
「アンタ、また変な妄想してるでしょう。多分、しとりはそういうのにならないわよ。アグレッシブだけど、性根の優しさは貴女みたいだし」
「ん!いっしょだね!」
「……フフ、そうですね」
ゆっくりと笑顔で私の隣に来てくれたしとりの頭を撫でていると、ふと嫌な視線を感じて後ろに振り返ろうとした次の瞬間、何気無く平然とススハムの繰り出した前蹴りが私の真横を突き抜けた。
あまりの恐怖体験に腰が抜け、ペタンと床にへたり込んでしまった。へ、ふへ、キックが速すぎて終わりも始まりも全然見えなかったです。
「あ、ごめん。虫が居たから」
「い、いえ、その腰が抜けて……」
「……ごめん。ビビリだったわね」
ビビリ……まあ、そうですね。
私は一人だったら何も出来ず、いつもビクビクと人の視線に怯えていますし、今だってしとりやススハムがいるおかげで冷静ですけど。
少しでも不安になったら死にそうな気持ちになる。
そんなこと、人には言えませんけど。
「まあ、ビビリなのは良いけど。病室のベッドに運ぶわよ、お腹に気を付けるから掴まって」
「助かります」
「ん!しとりも!」
「悪いわね。しとり、私は一人用なの」
「むう!」
ぷくーっとまん丸と頬っぺたを膨らませたしとりを可愛いと思いながら病室のベッドに運んで貰う途中、定期的にススハムは蹴りを放っている。
なにか、あるのでしょうか?
そう疑問に思いながらも清潔な病室に入り、ベッドに乗せて貰い、そのまま横たわる。しとりは当たり前のようにベッドに潜り込んでくる。
子供体温、ぽかぽかです。
「じゃあ、アタシはアイツら蹴って来るから」
「あいつ?ひえっ!?」
「おー!!」
ススハムの指差す扉の窓枠を見た瞬間、ビクリと身体が強ばる。昨日のお昼にドクトル・バタフライが破壊した筈の人形がびっしりと扉に張り付いている。
ゆめ、ですね。うん。