カタカタカタと球体の関節を軋ませ、ススハムに飛び掛かる人形達にしとりは「おー!おー!!」と楽しそうに笑い、ススハムは部屋の扉に張り付く彼女らを一度の蹴りで倒していく。
狭い廊下故にスピードを活かす方法はない筈なのに、ススハムは動きを変えることなく、トトトトトトッ…!とリズムを刻むように足を揺らしている。
「ん!しとりもやる!」
「まだしとりは小さいから危ないことはダメですよ?それにしとりはまだお母さんと一緒に居て欲しいなあ」
「ん!わかった!」
私のお願いに笑顔で応えてくるしとりを抱き締めながら、せめて五歳を越えるまで待って欲しいと切実に願う。いくら左之助さんに似ていて、強い身体に生まれたからと言ってもやっぱり心配なんです。
「それにしてもススハムさんはすごいね」
「ん!はむちゃん、つよい!」
あれだけの人形を手を使わずに蹴りだけで倒せるなんて本当に戦闘面に秀でている人はすごい。私ももう少しだけ度胸や勇気があったら…なんてことを考えるも、それは私じゃないですね。
「ラストの一匹、窓側に回ったわよ!」
「へ?」
「ん!母ちゃんいじめちゃダメ!!」
ススハムの言葉に後ろに振り返ろうとする私よりも先に動いたしとりは人形の頭をビンタした瞬間、人形の頭を叩き潰してしまった。
「しとりっ、怪我はしてない!?」
「ん!」
手のひらを見ても血は出ていないけど。
いきなり、武装錬金の人形を叩くなんて危ないことはしないで……ううん、こういうときは注意するんじゃなくてお礼を言うのが当たり前ですね。
「ありがとう。しとりのおかげでお母さんもお腹の子も大丈夫でした。流石、左之助さんの娘ですね。とっても良い子です♪︎」
「んへ、しとりえらい?」
「はい。とても偉いですよ」
よしよしとしとりの頭を優しく撫でてお礼を言っていると「ん!しとり、おねえちゃん!」と私のお腹を傷付けないように触り、耳を当てて笑顔になる。
「ん!いいこいいこ」
「フフ、二人とも良い子です」
「全く、敵に襲われてるんだけど……。相楽カッケマッ、アタシは犯人を探してくるからドクトルの部屋から核鉄でも何でも使いなさいよ?」
「えと、私に武装錬金は使えないので、あはは…」
「……まあ、その性格だと使えないか。そういうことなら最速で蹴り倒してくるから、しとりも戸締まりだけはしっかりとしておきなさい」
「ん!」
窓枠を乗り越えて外に出たススハムは砂塵さえも起こさず、空高く蹴り上がっていき、木々の間に向かって急速落下する。あの人の『特典』は足を速くするだけなのに、ものすごい性能ですよね。