ススハムによって全身にキックを受けた錬金戦団の戦闘員は喋ることも出来ない状態でした。ここまでやる必要はあったのかな?と思いながらも、しとりを付け狙っていた相手なのだから、それぐらい受けるべきだと思ってしまう私もいます。
「ススハムさん、最後の連続蹴りは一体…」
「あれ?アレは物凄く手加減して蹴りまくっただけだから大して痛くないわよ」
「で、でも、やっぱり」
「相楽カッケマッ。仮面ライダーだって、無闇に必殺技は使わないでしょう?つまり、そういうことよ。アタシの本気の蹴りは地面を陥没させ、十トンくらい出るんじゃないかしら?」
「十トン」
私が何人居たら?と想像していると、ススハムのお尻に敷かれていた男が呻き声を上げ、苦しげに何かを呟くも何も聞こえてこない。
一体、何がしたいのでしょうか。
そう思っているとしとりが身体を傾け、ポスンと私のお腹を避けてお膝の上に頭を乗せて、ジーーーッと男の人を見つめている。
なにか見えるかと首を傾げつつ、ススハムに踏まれているのに苦しげに鼻息を荒くしている男の人は本当に苦しそうだ。
「あの、退いてあげたほうが……」
「チッ。相楽カッケマッの優しさに感謝しなさい。アタシだけだったら、アンタが死のうがどうだろうがマジでどうでも良いのよ?」
「だ、ダメですって!」
ゲシゲシと彼の事を踏みつけるススハムに焦り、止めるように訴えて、ようやく止めてくれた頃にはガタガタと身体を震わせて完全に怯えさせていました。
「流石にやり過ぎですよ、ススハムさん」
「……仕方ないでしょう。コイツ、小さな声で『そんな蹴りでオレが喋ると思っているのか、これだから小国の女は嫌いなんだ』とか言うのよ」
「そ、それは…」
最低ですね。
私はススハムと一緒に男を見下ろしたその時、簀巻きにされていた男の顔が恍惚としたものに変わっていることに気付き、そそくさとしとりの傍に戻る。
変態さんです。それもしとりには絶対に会わせたくないタイプの変態さんに遭遇し、私はススハムにお願いして男の人を研究所の外に追い出して貰った。
そういう変態さんには関わりたくないですし、それにもしも錬金戦団に関わっていたとバレたら左之助さんに怒られてしまいます。
「ん!父ちゃんおかえり!」
「おう。ただいま、景。あの簀巻き男はだれだ?」
「……す、ススハムさんのお客さんです」
「そうか。景はオレにウソを吐くんだな?」
「ひぅっ、すみません、錬金戦団の方が二度も攻めてきました!」
そう言うと満足げに笑って私の頭を撫でた左之助さんはススハムを追いかけるように走り出し、放逐される変態さんに向かって思いっきり飛び蹴りを食らわせた。