ドクトル・バタフライの話す二次創作の定番とも言える並行世界、原作世界へ介入してみたいという欲求は保留するように伝えておきました。
正直、私は愛していない左之助さんに迷惑に思われたくないだけです。卑しく浅ましい、どうしようもなくお友達の願いより保身に走ってしまいました。
あとで、ちゃんと謝りましょう。
そう思いながら私は左之助さんが交易の相手に譲って頂いたチェスの駒を触っているしとりを眺める。まだ、子供のしとりには難しいですね。
「しとり、そいつは将棋と同じだぞ」
「しょーぎ?」
「そういや、見せたことなかったか?」
「はい、一度も無いですよ。私は左之助さんと緋村さんの打ち合いは見たことありますけど、しとりは聞くのも見るのも初めてですね」
「ん!しとりもやる!」
私の言葉に興味を惹かれたのか。
しとりは右手を上げて訴える。確かに、将棋やチェスなら怪我する心配もないですが、やっぱり可愛い女の子には旅をさせよと言いますからね。
「一先ず、山崩しにしますか?」
「そうだな。しとり、父ちゃんの膝に来い」
「ん!だっこして!」
ずずいっと身体を乗り出して、両手を伸ばすしとりの可愛さにほっこりとしながら、左之助さんはしとりを優しく抱き上げ、自分の膝の上に乗せる。
……ちょっとだけ、羨ましいです。
そう思っていると左之助さんの右手が私の頭をくしゃりと優しく撫でてくれた。むう、そういうところも好きですけど。なんだかズルい。
「ん!しとりも!」
「フフ、良い子良い子です」
「しとりは偉いぞぉ?」
「んへへぇ」
よしよしと左之助さんと一緒に彼女の頭を優しく撫でながら過ごしているとき、ふと扉の窓枠を見るとドクトル・バタフライがチェス盤を持っていました。
ものすごく悲しげに私達を見ています。
「(そういえばチェス、すきでしたね)」
まあ、私と左之助さんの第一はしとりとお腹の子なので主治医でお友達のドクトル・バタフライでも、優先するのは可愛い我が子です。
「オッサン、なにしてんだ?」
「……私もご同伴に預かりたくてね」
「オッサンは自分の家族に会いに行け。最近、会ってねえんだろ?」
「それは、そうなのだがね。私の存在が妻と息子に負担を描けていると思うだけで申し訳なくなる。……ただ、君の言う通りだね」
そう言うとドクトル・バタフライは納得し、左之助さんに促されるがままに、自分のご家族に会いに行くようです。蝶野爆爵にも会えると良いです。
なんだか、ほうっとしますね。
家族仲が良いのは良いことです。