余り騒がしくなることなく沢下条張の尋問を終えた斎藤一と私達は左之助さんの斬馬刀を返して貰い、そのまま斎藤一が室長を務める部署に移動し、ダイナマイトの使用法と管理法を書いた説明書を使って、安心安全に自爆しないように使える方法を教える。
「導火線に火を点ける以外で誘爆する危険性は低いですけど。ダイナマイトの中に入っている雷管に衝撃を与えると内部の火薬は炸裂し、爆破範囲は凡そ百数メートル以上という目安です」
「めーとる?」
「阿呆が、外国で使う長さの値だ。本格的にお前の素性を調査するように指示する事も視野に入れておこう」
「そ、それは止めて頂けると……」
「そうだぜ。まずは祝言を挙げる前に挨拶しに行かねえといけねえんだ、先にお前が行ったら勘違いされるかも知れねえじゃねえか」
そう言って斎藤一の言葉を遮る左之助さんに嬉しさを感じると同時に、あの実家を彼に紹介しないといけないのかと考えるだけで、もう絶望しそうになる。
まあ、流石に絶望先生のようにところ構わずに「絶望した!あんな実家に左之助さんをお招きするなんて絶望した!」と叫んだりすることはないものの、わりと絶望しそうになっているのは事実である。
「コホン、話を戻しますね。着火法は教えた通り、導火線に火を点けるだけです。……ですが、これは元々は土木作業のために生まれた道具です、作ってしまった本人が言うのも変ですけど。森林や都心部の破壊活動には使わないで下さいね?」
「おう、オレは真っ当な喧嘩屋だからな。ケリを着けるときは、自分の拳と相棒を使って決めてるぜ。斎藤も爆弾でケリを付けるより刀一本だろ?」
「そんなものは時と場合による物だ。───だが、其処のヘビ娘が言った事を踏まえて言っておこう。例え俺が兵器として使わずとも政府は兵器として使う」
斎藤一はきっと真剣に真面目な話をしているんでしょうけど。それよりも私はいきなりヘビ娘と呼ばれたことに困惑し、左之助さんを見つめてしまう。
……ああ、そういえば斎藤一はタヌキやキツネ、イタチなんて女の子に動物の渾名を付けていたわね。でも、なんで私はヘビ娘なんだろうか。
ヘビって爬虫類ですよね?
「しかし、完成品は俺の持つ予備二つ、相楽の持つ物が三つ、合計五つの爆弾だが、まだ本数を増やすことは可能か?」
「自爆特攻はダメですよ?」
「阿呆が。材料を使いきっておけば盗難の心配をせずに済むと言っているんだ」
その言葉にハッとなる。
確かに私が「葵屋」で借りている旅館の部屋には仕事道具に加えて、左之助さんの錦絵、折角だからと書いた御庭番衆の方々の絵もある。───けれど。それよりも髪の毛がごわつくからと作ったシャンプーやリンス、石鹸は安全なのかが気になってきた。
まあ、「葵屋」は忍びの宿だから大丈夫よね。