しとりの連れて帰ってきたヒトカラゲ。
彼は戦国時代で最強と呼び声高き牙鬼幻月の率いる牙鬼軍団の戦闘員であり、ヒトカラゲ、ジュッカラゲ、ヒャッカラゲ、センカラゲと桁上がりの様に組織内の序列をしっかりと構成しています。
そして、しとりの隣に座ってお茶を飲んでいる彼はヒトカラゲです。幹部級の方々には雑兵や足軽なんて呼ばれるも健気に戦うアヤカシ達ですね。
「ジッパ!ジッパ!」
「えと、それは」
「……景、言ってること分かるのか?」
「フィーリングとボディーランゲージでおおよその検討は付きます。彼はお館様を封印した秘宝を探すという密命を受けているそうで、お館様の妖気を辿って北海道まで来たらしいです」
「ゾーヒョー!」
「ん!ぞーひょー!」
私の説明にウンウンと頷くヒトカラゲ。しかし、牙鬼幻月を封印しているのは『封印の手裏剣』というキーアイテムの筈ですけど。
北海道に飛び散るにしても
……しかし、こうなると牙鬼幻月を封印している物が手裏剣ではなく別の物に変わっている可能性もあるわけだけど。何か手懸かりは……いえ、そもそも怖いものを見つけるのはダメなのでは?
「ん!かげちゃん、さがそーね!」
「ジッパ!」
まあ、何かしらあるのでしょう。
私の『特典』の抑圧・制御を一時的に外して貰えれば答えは直ぐに見つかると思うものの、しとりに危険が及ぶのは絶対に避けたい。
「……あ、含牙戴角」
ポンと手のひらに軽く握った手を置き、何か大事な忘れていた事を思い出し、私は病室に集まっている左之助さん、しとり、ヒトカラゲに少しだけ待って貰う。
「えと、ドクトルの保管庫は確か…」
また少しだけ大きくなったお腹を支えるように手を添えて歩きつつ、階段脇の物置の扉を開け、異様な存在感を放つ千年パズルを手に取る。
戦骨の魂を封じ込めたアイテムだけど。
あの修羅達と戦っていたとき、彼の手には牙鬼幻月の愛用する薙刀「含牙戴角」があった。───つまり、この千年パズルの中には戦骨だけでなく、牙鬼幻月も封印されているということです。
「(四魂の玉の中では翠子と妖怪達が戦っていましたけど。この千年パズルの中に居る二人は、どれだけ戦い続けているのでしょうか)」
そう思いながら私はヒトカラゲに千年パズルを差し出して、解放するときは幹部級の方々に付き添って貰うように伝えて帰って貰いました。
「景、あれって」
「左之助さん、私は怖いものが苦手です。この研究所に入院したから、あれが毎晩『戦わせろ』『戦わせろ』と訴えてくるんです」
あんなものはもう妖怪に任せるしかないんです!