研究所の病室。そこに用意されたベッドに潜り込み、スヤスヤと眠っているしとりの頭を優しく撫でながら、剣の柄こと幻想虎徹を加えた転生者同士による今後の「物語」対策会議を行う。
「順番に紹介しよう。アイヌのススハム君、修羅脳の信二君、君も知っている人妻の糸色君だ。あと米国と英国に一人ずつ、まだ赤子の転生者もいるね」
「ヴァカめ!俺は聖剣の幻想虎徹だ!」
その『ヴァカめ』というのはキャラ作りじゃなくて、本当の口癖なんですよね。姿お兄様に教えて貰ったときはビックリしましたけど。
まあ、そういう人……剣の柄も居ますよね。
「そして、今回の議題は『黒幕説』だ」
ドクトル・バタフライの言葉に全員の視線が私に向き、思わずビクリと身体が震えてしまう。わ、私は無力な女ですよ?パンチやキックなんて受けたら、一発で死んじゃうくらいボロボロになるか弱いのに……。
「私の『知性』は物事の全てを把握する。スペックで言えば全知低能の糸色君の上位互換だ。一応、これは悪口ではないからね?」
「分かっていますよ。ドクトル、どうせ私はスタミナも碌に付かず、走ることも出来ず、弱くて情けないカタツムリより貧弱な生き物ですよ…」
「相楽カッケマッ。アタシは知っているわよ、お腹の子のために少しずつ運動しているし、ストレッチも行っているものね」
「うぅ、私の味方はススハムさんだけです」
ポンポンと私の背中を優しく撫でてくれるススハムにそう言って抱き着くと「フッ。良いでしょう」と何故か煽り言葉を彼女は口にした。
「まあ、貶している訳ではない」
「いや、黒幕っぽさはあるだろ」
「ドクトル、この修羅脳はヴァカなのか?」
「殺し合い以外はダメだね」
「そうか、かわいそうにな」
この人達は会議を開いているのでは?と思いつつ、私も少しおふざけをしてしまいましたから、お相子ではありますね。
「まあ、気を取り直そう。先ず、今回の議題について話したいのは糸色君の事を怪しんでいる各組織の言葉だと思ってくれていい」
逆に不安が来ています。
「みんなも知っているように糸色君は怪しく振る舞っていないのに妖しく感じる。もはや一種の才能だろう、そのため『るろうに剣心』では志々雄真実や外印、雪代縁など悪役に好かれ、『GUN BLAZE WEST』では甲冑男爵やJ・J'sギャングに好かれていた」
「お前、悪役にモテるのか」
「私は左之助さんだけのものですが?」
「────要するに、私の言いたいことは未来の『物語』に登場する悪役もしくはラスボス級の相手を糸色君は無自覚に誑し込んでいる可能性がある」
流石に、それはあり得ないと思います。