しとりは自分の持っていた撃盤と撃符、術符をちゃぶ台の上に置いて、私の事を見つめている。個魔の方の隣に座っているというのも初めての事です。
イヤイヤ期に突入する前に反抗期を迎えてしまった気分ですけど。しとりなりに頑張って考えた結果なら私は否定も拒絶もしません。
「……しとり、つづけたい」
「妖逆門は遊びですが、怖いものですよ?」
「ん。がんばる」
「……ふう、分かりました。でも練習するときはお母さんにも教えてね?内緒にされたらお母さんもすごく悲しくて泣いちゃうわ」
「ん!ないちゃダメ!」
しとりの言葉にクスリと笑いながら彼女の頭を優しく撫でて、未だに緊張して固まっている個魔の方を抱き寄せて、ゆっくりと頭を撫でてあげる。
「二人とも妖逆門が始まったら無事に帰って来るんですよ。それまでは私と一緒に居てもらえると、お母さんは嬉しいです」
そう言ってしとりと個魔の方の手を握り、自分の思いを二人に伝える。出来ることなら危ないことには巻き込まれず、安全に過ごして生きてほしいけど。
「妖逆門」は、しとりを選んでしまった。
なによりもしとりの性格は左之助さんに似ていて面白いものが大好き。そんな可愛い女の子に、いきなり「危ないから止めなさい」と注意するのはダメです。
どうか今はまだ見守らせてね。
「ところで、しとりの属性は?」
「ん!えとね、えと?」
「メインは水。搦め手や術符は木土だ」
「構成は五行の三種ですか」
いつか相生や上位など極めるとは思いますが、しとりは楽しさと気分に任せて効果を無視して使ったりする可能性もありますね。
「嬢ちゃん、そろそろ戻しておきない」
「ん!わかった!」
「あ、その前に採寸させて欲しいかな。落としたら危ないですし、しとり専用の撃盤ホルダーを作ってみるのも有りかと」
「ほるだぁ?」
「要は撃盤の鞘だ。でも母者、良いのか?」
「子供の願い事は未来の現実。それを夢と笑う大人はもはや人間では無いですから、しとりのやりたいことは応援しますよ」
個魔の方の問い掛けに答えながら、しとりに撃盤と撃符を借りて長さと幅、重さを計りつつ、色々と頭の中で形状を想像する。
まあ、凡その形状は決まっていますけど。
「陰陽大戦記」の
「良からぬ事を企んでそうな顔つき」
「ん!しとりもやる!」
「…フフ、じゃあ一緒にやりましょうね」
そう言いながら私は裁縫道具を収めた戸棚を開ける。