闇乃武。
長谷川君達の戦ったアフロの人とは違う旧世代の闇乃武の襲撃を受け、左之助さんは軽傷ではあるものの、怪我を負ってしまっている。
「(緋村さんではなく左之助さんを狙う理由は一体何故なんでしょうか。思い付くのは戌亥番神ですけど、私は左之助さんと彼の戦いを見ていない)」
あのときは外印に捕まっていて、何も出来ずに監禁されて気がつけば孤島に移動していましたし、本当に大変な事ばかりでしたけど。
それで逆恨みするのは酷いです。
そう思いつつ、ドクトル・バタフライに手渡された「石ころ帽子」を被ってみる。私は少し癖毛ですから、帽子を被ると髪の毛が真横にはみ出てしまう。
「ん!母ちゃん!……母ちゃん?」
お散歩から帰ってきたしとりはいつものように扉を開け、私がいないことに気づき、キョロキョロと病室の中を見渡している。───ですが、私は石ころ帽子を被っているから彼女には見えていないようです。
「こまちゃん、母ちゃんいない!」
「人の気配は感じないわね。誘拐された?」
いえ、ベッドの上で座っています。
「スンスン…!」
「嬢ちゃん、鼻鳴らしてどうした?」
「まだいる。そこ!」
「わあ、正解ですよ、しとり♪︎」
「ん!母ちゃんみつけた!」
「石ころ帽子を貫通する嗅覚?」
しとりの嗅覚の良さに驚く個魔の方に「左之助さんも私を見つけてくれるので、こういうのは慣れました」と言えば「やっぱり母性フェロモンとか出てるのか?」と言われてしまう。
そういうのは、まだ出ていないです。
いえ、もう出ているから狙われる?と首を傾げつつ、しとりの頬っぺたを両手で包み、モチモチとした彼女の頬っぺたを捏ねるように触り、真剣にじっくりと私なりに考えてみる。
「しとり、お母さんってどんな匂い?」
「ん!おひさま!」
「まあ、そばにいると良い匂いではある」
だから妖怪を引き寄せてしまうのかしら?なんてことを考えて、左之助さんにも教えてあげるべきかと悩む。でも、しとりが安心できるなら、私の香りも悪いものではないのでしょう。
「母ちゃん、だいすき!」
「フフ、お母さんも大好きですよぉ」
笑顔で私の事を好きと言ってくれるしとりの頭を優しく撫でていると、病室の扉をノックする音が聴こえて「入っても大丈夫ですよ」と伝える。
「糸色君、新しい設計図なのだが」
「ああ、非常食のヤツですね。あれは料理したものを固めないといけませんから、一緒に作りますから覚えて貰えると嬉しいです」
「Thank you。やはり家庭の味は再現しにくくてね」
まあ、明治時代だと基本的に家事をするのは女の人ですからね。私の左之助さんは私を手伝ってくれるから素敵な旦那様ですけどね!