ドクトル・バタフライの研究所を離れて二日ほど経過し、左之助さんも無事に合流してくれましたけど。やっぱり生傷は絶えておらず、此処に来るときも襲われていたのが分かる傷ばかりです。
「また怪我をしたんですね」
「転んだだけだ。景が心配するような事にはなってねえから安心してくれ」
「心配するのは当たり前の事です。それに、左之助さんを心配しているのは私だけじゃなくて、しとりもお腹の子も心配してるんですよ?」
「そうだな、悪かった…」
素直に謝ってくれた左之助さんの頭を抱き締めて、久しぶりにゆっくりとお話しできる時間を楽しんでいると、病室の扉を開ける音が聴こえ、そちらに視線を向け、思わず笑みがこぼれる。
しとりは子供用の袴と胴着を身に付け、左腰に電光丸を佩いてフンスと胸を張って自分のカッコいい格好を私と左之助さんに自慢しています。
とても可愛いですけど。
まさかドクトル・バタフライに着せて貰ったわけじゃないですよね?と満足げに頷いている彼の事を見上げると「私には見えないが、個魔の方がやってくれたよ」と答えを教えてくれた。
「ん!みて!」
「オッサン、電光丸ってのは良いが、南蛮銃を持たせるのはやめてくれねえか?」
「嗚呼、このピストルの事なら問題ない。しとり君、貸してもらえるかい?」
「ん!」
左之助さんの苦言にドクトル・バタフライは当たり前のようにしとりの腰のホルスターに嵌まっていたピストルを受け取り、カチッと引き金を引いた瞬間、ポフンと軽い音と花びらが舞い散った。
「空砲だよ」
「ドクトル、ウチの子に危ないものを持たせるのは止めて下さい。貴方の親切心はすごく嬉しいですけど、まだ子供には危ないですから」
「ふむ、そうだったね。しとり君、また新しく安全なものを用意しておこう。あと、左之助君にも色々と準備してみたんだ。是非とも着て貰いたい」
「……まあ、景としとりが喜ぶなら着るけどよ」
「フフ、楽しみにしていますね」
いつも着流しか「悪一文字」の法被、もしくは仕事のために私の編んだ背広くらいですからね。もっとカッコいい服を着ている左之助さんを見たいけど。
ただでさえカッコいい左之助さんが、カッコいい服を着たら悪いことを企んでしまう女の人は絶対にいる。まあ、私の愛している左之助さんが浮気するなんて絶対にあり得ませんけどね。
でも、心配なものは心配なんです。
「しとり、かわいい?」
「しとりはいつも可愛いですよぉ♪︎」
「んっ、えへ」
嬉しそうに笑うしとりは本当に可愛いです。