右腕が折れたまま万全な状態の戌亥番神と戦っている。五年前よりも強くなって舞い戻った彼の動きは技の間隔がほぼ無く、圓明流のように技は連動している。
「シャラアッ!!」
「一々叫ぶんじゃねえ!」
フライングクロスチョップなんていう派手な技を繰り出す瞬間、僅かに左之助さんも右腕の事を思い出し、防御ではなく攻撃に転じる。首を狙ったクロスチョップを地面に仰向けに倒れて躱した。
戌亥番神の無駄を一切省き、無駄に破壊力を追求したフライングクロスチョップは見た目こそ完璧ですけど。当てることを前提に置きすぎていたため、加速を付けすぎてしまっているんです。
「チィッ!剛斧爆!」
「うおらっ!!」
地面に着地すると同時に身を翻す勢いを乗せ、L字に固定した右腕を構えて駆け出す戌亥番神に、左之助さんが左拳を振り抜いた刹那、お互いの腕を絡み合わせ、二人の身体が動かなくなる。
「ホウ。ラリアットのぶつかり合いかね」
「ドクトルっ、帰ってきたんですね!」
「帰ってきたけれど。男の意地をぶつけ合う喧嘩に割り込むなんて無粋な真似はしないよ?君の愛する男はいつだって君の声援に答えてきたじゃないか」
「……はい。左之助さんが最強です!」
ドクトル・バタフライの言葉に頷き、私は腕力勝負を続けている左之助さんと戌亥番神の戦いを見守る。左之助さんなら絶対に負けません。
いつだってあの人は自分より強い人と戦って勝ってきたんです。戌亥番神とのリベンジ・マッチも絶対に勝ってくれるんです。
「ん!父ちゃんがんばれ!」
しとりも電光丸を振って応援しています。
「ハッ。負ける理由が無くなったなぁ!!」
「ハッハー!!誰が負けるかよ、馬鹿が!」
二人の怒声が響き渡る刹那、左之助さんが力を緩めて間合いを広げ、ぐらりと戌亥番神の身体が傾き、がら空きの後頭部に向かって左之助さんは左拳を力任せに振り落とした。
空手なら拳槌打ち。相撲なら素首落とし。首を打って意識を刈り取る一撃を受け、戌亥番神は雪の中に倒れ込んでしまった。
「おう。勝ったぜ」
「Beautifulだったよ、左之助君」
「ん!父ちゃんかった!!」
やっぱり、私の左之助さんはカッコいいです。
某マキリの次男風に言うなら「私の左之助さんは最強なんだ」でしょうか?と考えながら見事に折れてしまった左之助さんの右腕に私とドクトル・バタフライは核鉄を当てて、治癒力を高める。
あとで骨の位置を治すとはいえ、やっぱり痛みで顔色を悪くしている大好きな人を見るのは辛いです。でも、そういう痩せ我慢するところも大好きです。