某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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必然的に 序

『キテレツ大百科』の発明品の設計図を描いてみたものの。ドクトル・バタフライは何を危惧しているのでしょうか。いえ、錬金術師でもある彼の考えを読み解くのは難しいので止めましょう。

 

それに、ドクトル・バタフライは悪用する人ではありませんし。なにより彼が発明品を催促するときは決まって、私の身体に何かしらの不調があるときです。

 

いつも家族やお友達を心配させてしまい、申し訳なく思いながらも愛して貰えているという自覚を持つことができ、自己嫌悪してしまう。

 

「やれやれ。ようやく完成したよ」

 

「ん!できた!」

 

そう言ってしとりを引き連れて病室に入ってきたドクトル・バタフライの手には赤いテープがあり、「まさか『天狗の抜け穴』を最初に作ったんですか?」と問えば頷いて肯定された。

 

「天狗の抜け穴」。

 

円や正方形など枠組みを作るようにテープを壁や床に貼り付け、遠方に同様の枠組みを作ることで時空間を歪め、瞬間的に長距離を移動できるという「どこでもドア」に近しい奇天烈斎の発明品です。

 

しかし、どうして最初に天狗の抜け穴を?

 

「何故、この発明品を最初に選んだのか。そう聞きたそうな表情をしているね。なに、君と左之助君が月に数度しか会えないのは心苦しかったのだよ」

 

「父ちゃんまたいっしょ!」

 

「ドクトル、しとりも……」

 

嬉しい。この山奥に引きこもっているのは仕方ないと分かっていても大好きな人に会えないのは辛くて苦しかった。だから、とても幸せです。

 

「……ところで何処に貼るつもりですか?」

 

「クローゼットだが?」

 

私は基本的に着物なので問題ありませんね。

 

クローゼットに入っているお洋服は可愛いですけど、フリルやスリットのすごい服ばかりで、あんなものは恥ずかしくて着る気にはなれないです。

 

「ん!ドンとおやぶんのもつくる!」

 

「フフ、きっと喜びますね」

 

「しとりもうれしい!」

 

にぱっと笑うしとりの頭を優しく撫でているとクローゼットのドアを開け、お洋服の奥の壁にテープを貼り付けていくドクトル・バタフライと、箪笥脇の足元に自分も通ることが出来るサイズの枠組みを作るしとりを見る。

 

「あとは相楽家にテープを貼るだけだね」

 

「ん?ん!つながった!」

 

「え、もう?」

 

しとりは嬉しそうに天狗の抜け穴に入った瞬間、ドクトル・バタフライの作った天狗の抜け穴から、しとりは呼び出してきた。そう言えば距離の近いものと繋がるという設定だったわね。

 

「ん?ん?」

 

「しとり君、テープを貸してくれるかい?」

 

「ん!」

 

しとりのテープを受け取ったドクトル・バタフライは直ぐ様、彼女の作った天狗の抜け穴を剥がして、窓枠を踏み越えて飛び立ってしまった。

 

アグレッシブですねえ。

 

 

 

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