「今度は何を作っているんですか?」
そう私はドクトル・バタフライに問いかける。今は私の万年筆を解体して、少しだけ先の曲がった部分を取り替えて貰っているけれど。
退屈しのぎというわけではないです。
「ふむ、何を作っているのか。ひとつは『唐俱利武者』だね。もしも君の子供が巻き込まれたら守ってあげるようにプログラムしておくつもりだ」
「まるで、私の子供が事件に関わる様な言い方…」
「武藤君、賛君、どちらも君の血筋だろ?」
「うっ。それは、そうですけど。あの二人は偶然にも巻き込まれただけです!確かに、少しばかり幸薄そうな雰囲気を出していましたが、二人とも幸せに」
「落ち着きたまえよ。やれやれ、君は子供の事になると視野を狭めて……いや、自分の子供を心配するのは母親としては当たり前の事だったね」
「そうです!」
フンスと胸を張って言い切る私に「全く君は怖がりで臆病なのに悪いことはキッパリと断る」と何処か呆れたように呟き、私に小箱を差し出してきた。
プレゼントには早いのでは?と思いながら首を傾げ、ドクトル・バタフライの方を向けば「君のために作った物だ。何、大抵の事は乗り切れる」と言われた。
「印籠?」
小箱を開けると、小さな印籠が入っていた。
糸巻きの家紋を彫り、金箔を塗り込み、表面は黒漆を均一に塗り込んだ綺麗な物だけど。どうして?と考えかけて、私が設計図を書いたことを思い出す。
「黄門印籠」。
特殊な光波を放って相手の身体を瞬間的に特定の動作を繰り返すように暗示を掛ける発明品です。まあ、簡単に言ってしまえば印籠を見せると傅き、恭しく仰々しく印籠を持つ相手に平伏するようになる。
「……私、人に傅かれる趣味はないですよ?」
「安心したまえ。それは私の改良版、糸色家の血筋と蝶野家以外を標的にしている」
「なんですか、それ(……でも、そうなると左之助さんが私に恭しく傅いてくれるのは、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ見てみたいです)」
「嗚呼、それとタフな左之助君には効果はない」
「そうですか」
別に残念ではないけど。もっと、いつも以上に私を愛してくれる左之助さんが見れるかもとか全然期待とかしていませんよ?
「さとり君」
「ん!さとりじゃないよ、しとり!」
「おっと、間違えてしまった。お詫びにキャンディをプレゼントするから許してもらえるかね。ああ、許して貰えるならキャンディを十個、プレゼントするよ」
「ほんとお!?」
私が印籠を持って照れている間に、ドクトル・バタフライはしとりにキャンディをあげるために、わざと分かりやすい間違えをしてしとりに許して貰い、キャンディをプレゼントしています。
食べ過ぎ注意ですよ?