ドクトル・バタフライ謹製の唐倶利武者は原作『キテレツ大百科』同様の一本足の鎧武者の姿であるものの、その甲冑はフェノール樹脂を塗り込んだ紙束と籠手や鎧以外の装飾はナノファイバーを使用し、動きやすさと強度を高めている造り───。
カーボン仕様によって軽量化した鎧。極めて高い柔軟性と耐久度を誇る衣服。そして、唐倶利武者の持つ日本刀はしとりに贈られた妖刀。
「(実質、唐倶利武者も
そう思いながら甲冑の胴に糸巻きの家紋を塗り、糸色家にお仕えする一人の武者としての役目を与える。他にもドクトル・バタフライは「忠臣倉」や「からくり料理人」など作っている。
「貴方達はこれから百年以上残り続けてくれるでしょうし。私からお願いがあります、もしも私の子供や孫が危なかったら助けて上げて下さいね」
カタリと三体の唐倶利人形は身体を曲げ、私の言葉に頭を垂れて了承してくれました。まあ、世が世なら私って敵国の人と和睦や同盟を結ぶためにお嫁に行く立場でしたので、こういうには慣れています。
「ん!ただいま!!」
「嬢ちゃん、手洗いと嗽がまだだ」
「にんぎょーさん?」
「フフ、そうですよぉ」
コテンと可愛らしく小首を傾げるしとりを手招きして、私の傍に近付いてきて、ゆっくりと座った彼女に彼らの名前を優しく教えてあげる。
「この子達は個魔の方と一緒に貴女を助けてくれます。しとりが大きくなってもずっと一緒に居てくれますからね?」
「ほんとう!!」
「えぇ、お母さんは嘘は言えません」
「ん!こまちゃんも!」
「私は嘘は吐けるよ」
ムッとする個魔の方にクスリと笑いながら、彼女の頭を撫でてあげると「私の方が年上なんだけどな」と嬉しいのにもどかしさを感じる顔を見せてくれる。
「フフ、母は何歳でも母なのです」
「なにそれ。……まあ、いいけどさ」
そう言うと個魔の方は恥ずかしくなってしまったのか。しとりの影の中に潜ってしまい、私は手持ち無沙汰を解消するために両の手をしとりに当てて撫でる。
「んへへ」
「フフ、かわいいですねえ」
よしよしとしとりの頭を撫でていると左之助さんがクローゼットを開けて部屋の中に入ってくるなり、私としとりの事を抱き締めてくれた。
「どうしたんですか?左之助さん」
「ん!父ちゃんへん!」
「ちょっとな、二人に会いたくなったんだ」
少し語彙の暗い左之助さんに首を傾げながら、どうしたのだろうか?と考えていたその時、ドクトル・バタフライが部屋の扉を開け、暫くして咳払いをして部屋の外にでていってしまった。