某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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左之助さん視点になります。


時は遡る事、数時間前─────。





差し金、夫の悩み 序

「ムッシューサノスケ!会いたかったよ!」

 

「うおっ、ディーンじゃねえか?!」

 

交易所の運搬を手伝っていたとき、銀色の髪を揺らして抱きついてきた男に驚き、無理やり肩車の格好になる仏蘭西で交易商を営んでいる商売相手ディーン・メーストルを引きずり下ろす。

 

一々こうして抱きつかれるのは迷惑な上に面倒臭い。そうオレは溜め息を吐いて軽やかに波止場に降りたディーンの顔を見据える。

 

「しろがね」のディーン・メーストル。

 

まだコイツの事は景やしとりには話していないが、あの才賀貞義を名乗る男がやって来た数日後にオレはコイツと出会った。

 

「いやー、相変わらず馬鹿力だね。しかし、随分と君も貫禄を増している。どうだい、僕が会社を引き継いであげようか」

 

「阿呆が。誰がやるかよ。それよりお前が来たってことはアイツらか?」

 

「……嗚呼、サノスケの話していた錬金術師の二つの成功例に僕も出会った。人造の怪物(ホムンクルス)、人の闘争心に呼応して姿形を変える『柔らかい石』の変異種とも言える核鉄を知った」

 

オレの問いに飄々とした態度は消え、真剣な眼差しを向けるディーン。コイツの話に出てくる「柔らかい石」、そしてコイツらの宿敵「自動人形(オートマータ)」は奇しくも景の描く絵草紙にそっくりだった。

 

────だが、肝心な所を思い出せない(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「そして、僕は錬金戦団にも遭遇した。アイツら、僕達を見つけるなり『存在してはいけない』とか『その身体は有効的に使ってやる』とか言いやがったんだ!」

 

「チッ。アイツら、まだ性懲りもなく」

 

「けど。問題ないさ、僕はしろがね。幾ら武装しようと人間を守り、機械仕掛けの化け物を倒すために生きている。だからさ、ムッシューサノスケ、どうか僕の提案を受け入れて欲しいんだ」

 

「生憎、オレは生身のまま人間で居たいんだ」

 

ディーンの提案。

 

それはオレを「しろがね」に変えるというものだ。現代に於いて最強の一角、況してや外国を巡り歩いていたオレの噂は「しろがね」にも届いていた。

 

「そうか、分かった」

 

「悪いな。ディーン」

 

「────ああ、君の奥さんは病を患っているのだろう?遠目だったけど、もう彼女は危ないだろう。でも『柔らかい石』なら君の妻を治すことも出来て、もう少しぐらい長生き出来るかも……いや、何でもない。無神経な事を言ってしまった」

 

そう言うとディーンは背中を向け、交易の仲間の元に戻っていく。景が、死ぬ?ディーンはふざけているが、生死に関しては嘘は言わないヤツだ。

 

だから、アイツの言葉に嘘は無い。

 

景は、もうすぐ病で死ぬ─────。

 

 

 

 

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