「いふぁい、いふゃいれふ!」
「しとりが教えてくれなかったら黙ってた口だろ」
「ゆるひふえくらひゃいっ」
ムニムニと私の頬っぺたを左右に引っ張って怒る左之助さんの両手をペチペチと叩き、反抗するも怒っている彼は直ぐには止めてくれず、ぐにぃっと頬っぺたを引っ張って物凄く怒っている。
「景、お前はオレの女房だよな?」
「ふあ、ふぁい」
「じゃあ、亭主のいないときに男に会うのは?」
「ひぐっ」
「景、言ってみろ」
「ご、ごえんらひゃい」
ヒリヒリとする頬っぺたを離して貰い、赤くなっていないかとしとりに見て貰うものの、しとりは「ん!ほっぺ!」と優しく顔を撫でてくれました。
そうじゃないんだけど。嬉しいです。最近の左之助さんは何だか昔みたいに独占欲や支配欲が強まっているようにも感じます。
私も予想外の事だったから悪いことだとは思っていますし、頃合いを見てお話しする予定……えぇ、そう、お話しする予定ではあったんですよ?
「……左之助さん、怒ってますか?」
「もう怒ってねえよ」
「えと、私に出来ることなら何でもしますよ?」
そう言うと左之助さんが物凄い顔で私を見たけど。何故か踏み止まる。また、ドクトル・バタフライに私の体調の事を聴いてしまったのかな。
フゥーッ、フゥーッ、と呼吸をあらげて血走った目が私を見下ろす彼の手が肩に触れ、いつもより力強く触れられた事に驚く。
「痛っ、左之助さん?」
「ッ、流石にコイツは言えねえ…」
左之助さんは少しだけ残念そうに溜め息を吐き、私は何を言おうとしていたのかとドキドキしてしまっている。いえ、きっと「一緒に居て欲しい」とか「膝枕してくれ」とかそういうことなんでしょうけど。
フフ、左之助さんは照れ屋さんですね。
「ん!父ちゃん、しとりも!」
「……抱っこしてやるから大人しくしような」
「ん!」
しとりは両手を伸ばして左之助さんに抱っこしてもらい、私は未だに何を頼もうとしていたのかを聴きたくて、ほんのちょっぴりワクワクしています。
「糸色君、少し良いかね」
「え?はい、すみません。左之助さん」
「おう」
ドクトル・バタフライに手招きをされ、何かあったのかと首を傾げながら廊下に出て、彼の後ろを歩いていると急に立ち止まり、肩を掴まれた。
「本当に申し訳ないのが、一瞬だけ『仮面ライダーディケイド』の『物語』と繋がり掛けてしまった。おそらく『侍戦隊シンケンジャー』と何かしら関連しているのだろうが、教えて貰えるかね」
「ああ、それはコラボ回のお話ですね。その二つの世界は『仮面ライダー』と『スーパー戦隊』は別世界のため、門矢士の『世界を渡る能力』によって偶然、いえ、必然的に繋がるんです」
「どうなる?」
「本来、二つの世界は交わる事の無い歴史なので修正力は働くでしょうし。ドクトルが危惧する二つのシリーズが一斉に混ざることはないです」
そもそも『統一された世界』は、あくまでドクトル・バタフライの願った『特典』ですから、貴方が本気で拒めば繋がることは絶対にありえない。
無理に繋げる場合は私の『物語を繋げる能力』です。