なんとか志々雄真実一派の尖兵を追い返すことに成功したものの、十本刀の一人を偶然とはいえ倒してしまった私に相手側の注目は集まってしまった。
なにより蒸気船のときに私を認識している本条鎌足の「あの子が糸色景だよ!」という言葉によって更に視線は集まり、次の襲撃時は確実に狙われる。
そして、左之助さん達の方も無事に東京襲撃は阻止したそうだけど。緋村剣心と四乃森蒼紫の視線は怪訝さを増していて、どうしたのだろうか?と小首を傾げる。
「左之助さん、どうかしたんですか?」
「剣心も蒼紫もお前の作ってくれたダイナマイトの破壊力に驚いてんだよ。斎藤のヤツは先に聞いてたから驚いてねえけど」
「成る程、そうだったんですね」
確かに、いきなりダイナマイトを使って爆発するところを見たらビックリするのも当たり前だと私も理解できるし、簡単に納得もできる。
でも、なんで斎藤一は私を見つめているんだろう。
「剣心、大丈夫だった?」
「蒼紫様!」
すでに緋村剣心と四乃森蒼紫にも彼らを愛する人が傍にいるおかげで慌ただしくなることはないけど。斎藤一も奥さんに会いたくなったりするのかな?
「余計な事を考えているな」
「…………いいえ、考えていないです」
ジーーーッと私を見下ろす斎藤一の視線に耐えかねて、私は左之助さんの背中に張り付くように隠れながら、明後日の明朝に志々雄真実一派のアジトに向かう約束を交わしたと聞いた。
「もっと投げつけてやれば良いものを」
「斎藤、流石に周囲への被害もある」
「しかし、筒の大きさを削り、威力を減らして使えば範囲を気にせず使えるのは事実だ」
「流石に、三つも投げたんだ。志々雄の船も木っ端微塵とは行かねえまでも半分以上はブッ壊れてたんだ、それでいいじゃねえか」
えっ、もう三つも投げたんだ。
そんなに投げたら船なんて簡単に破壊できるのでは?と考えつつ、大広間に移動する左之助さん達に付いていく途中、ピタリとまた四乃森蒼紫の動きが止まる。
「……………………」
「じ、自画像の襖でござるか」
「自意識過剰だな」
「コイツは景の絵柄だな」
そ、そういえば大広間に移動するには巻町さんの寝室の前を通過するんだった。ま、まあ、四乃森蒼紫も自分の錦絵は嬉しい筈だから、きっと、うん、怖いから左之助さんの背中に抱きついておこう。
「蒼紫様、この錦絵とっても良いでしょう!糸色さんに描いて貰ったんだ!」
「……そうか。糸色に描いて貰ったのか」
す、少し声色に怒気を感じる。
「糸色、次に描くときはオレだけではなく御庭番衆全員の錦絵を描いてくれ。この絵の中のオレも、きっとその方が嬉しい筈だ」
「はい。この戦いが終わる頃には必ず」
四乃森蒼紫の言葉に素直に私は応える。
仲間を大切に想う彼の言葉は正しく、こうして教えてもらうまで気づけなかった。その事実に申し訳無さを抱きながら、必ず絵を仕上げることを彼と約束を交わす。