某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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花は咲き、笑う 破

赤ちゃん用の着物を身に付け、スヤスヤと気持ち良さそうに布団で眠っているひとえを、ジーーーッと眺めるしとりに思わず苦笑してしまう。

 

あまり触って怪我をさせるのは心配だけれど。ずっと見守っていたいという彼女なりのお姉ちゃんとしての気持ちなのでしょうね。

 

「けほっ…けほっ…」

 

「景、大丈夫か?」

 

「…けほッ…えぇ、平気です」

 

ただ、私は産後の影響なのか。

 

またほんの少しだけ体調を崩してしまい、布団の中に潜ったまま動くことは難しく、左之助さんに水気を切り、濡らした手拭いを額に乗せて貰うなど。

 

あの時と同じ、『特典』と結核のせいで弱っていたときのように看病を受けています。やっぱり、もうこの身体は長くないのかも知れない。

 

せめて『エンバーミング』と『黒博物館』の二つの「物語」を乗り越えれば安心できる。今は明治十七年、しとりも四歳になって、あと六年後に1880年になる。

 

バネ足ジャック。

 

スプリンガルドの出没は1830年初頭、本来は交わることの無い歴史だというのに『エンバーミング』に黒博物館の存在がある以上、そして彼女がいるということでスプリンガルドは1890年にも出没し始める。

 

そうなると彼の年齢と外見に齟齬が生まれる。

 

「(まあ、年を取らない方法は幾つもありますし。欧州(ヨーロッパ)圏内には、ドクトルの友人もいる。しとりの服やひとえの着物もその内の一部です)」

 

「粥食えるか?」

 

「心配しなくても直ぐに良くなりますから…ね?」

 

私の手を握る左之助さんに微笑みつつ、どうにも重たい瞼を閉じる。左之助さんやしとり、ひとえを遺してまだ死にたくありません。

 

「ん!母ちゃん、うごいた!」

 

「フフ、動きますよぉ、赤ちゃんですから」

 

うにうにと可愛らしく手足を伸ばしてアクビをするひとえの頭を優しく撫でてあげ、しとりの頭も同じように優しく撫でてあげる。

 

貴女達が大きくなるまで頑張りますよ。

 

「けほっ…」

 

「ん!おみず、のむ?」

 

「ありがとう、しとり」

 

湯呑みに足されたお水を飲み、喉の痛みと胸の痛みに少しだけ溜め息がこぼれる。眼鏡があるから良いけど、このままだと本当に辛い。

 

ドクトル・バタフライに私の『特典』を完全に封じ込めて貰うことも出来ないし、身体の負担を軽減する「ひみつ道具」や「発明品」も効果は薄い。

 

おそらく転生者としての体質なのだろう。

 

ドクトル・バタフライやススハムも特定の「ひみつ道具」の効果は受け付けず、不破信二に関しては「ひみつ道具」も「発明品」も何もかも効かなかった。

 

やはり、彼を倒すには物理的になる。

 

 

 

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