「しとりもひとえも良く眠りますね」
「寝る子は育つ、だったか?」
私と左之助さんは日向ぼっこするように襖の近くで暖かい日の光を浴びながら眠っている可愛い娘達を眺める。二人とも健やかに育ってほしいです。
そう思いながら二人に毛布を掛けてあげ、左之助さんに抱き上げて貰い、ゆっくりと二人の近くまで運んでもらう。ほんほ少しばかり、身体が動きにくくなってしまっているけれど。
まだ、大丈夫ななずだ。
「景、本当に無理するなよ?」
「もうっ、分かってますよ」
いつも以上に過保護な左之助さんに私が二度心臓が停まった事は教えていない。きっと余計に心配させてしまうし、ドクトル・バタフライ達もそう言っていた。
「左之助さんは満足しましたか?」
「満足か、そうだな。してるよ、大事な女房が出来て、可愛い娘が二人とも出来たんだ。景はどうなんだ?」
「フフ、私も満足していますよ。怖くて仕方なかった世界で、いつも私を守ってくれて、こんなに幸せにしてもらえるなんて女冥利に尽きます」
ああ、本当に幸せです。
お嫁さんに、お母さんにしてもらえた。
本当に嬉しいことばかりです。
「……死なないでくれよ、景ッ」
「(え?いえ、まだ死にませんよ?)」
突然の涙ながらの懇願に驚きつつ、さっきの自分の言葉を思い返すとかなりアウトな感じに話していた事に気付いたものの、抱き締めて貰えるのは嬉しいので、もうちょっとだけ堪能していたい。
「(左之助さんって意外と涙脆いのかな?)」
私の疑問に応えてくれる本人は私を抱き締めているので話せませんし、しとりとひとえは姉妹仲良くお昼寝をしているので起こせません。
これは、ほんの少し困りましたね。
ゆっくりと身体を動かしてもみるものの、左之助さんは力一杯に抱き締めているので話してくれず、どうやって誤解を解こうかと悩んでいるとお盆の上にサンピタラカムイ様が現れ、私とひとえを交互に見比べている。
『巫女の気配が増えたかと思えば、お主に与えた神酒の力を全て娘に与えてしまったのか。全くお主ら人間の母親は子のために無茶を繰り返すのう』
「サンピタラカムイ様、夫を起こしてほしいのですがお願いできますか?」
『……ふむ、何を嘆いておるのかは知らぬが余り負担を掛けるでない。また神酒を飲ませておけば幾ばくか寿命は伸びるだろう』
「本当か!!」
「うっ、お酒ですか…」
神酒、清浄な香りと味が苦手なんですよね。そもそもお酒事態が飲み慣れていないこともあり、あまり飲みたくないものなんですよね。