某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

585 / 1070
また、飲む 破

二週間ほど頑張って徳利に注がれていた全ての神酒を飲んだものの、それでようやく私の心臓を保護する程度の力を授かる程度だ。

 

私の身体を守っていた前回の神酒の権能はひとえの身体に宿っていて、サンピタラカムイ様にお仕えする巫女の役目を担えるほど高位の霊力を得たわけですが、私は大切な娘を差し出すつもりはありません。

 

『神酒の濃度を限界まで下げて尚もこれか』

 

「オレとしては良いこと尽くめだ」

 

「…私は恥を何度も晒しただけです。酷いです」

 

そう私は文句を言いながら時折蛍火色に景色が見えるのも神酒の副作用かと考えていたその時、ひとえの両の手も同じように淡く蛍火色に染める光景に目を見開き、恐る恐る彼女の小さな手に触れる。

 

心臓の痛みが和らいだ?

 

「……これは『癒やしの力』?」

 

『ほう。お主の持つ特異な力(・・・・)が変質し、巫女の中で人を癒やす力に変わり始めたか。万病を癒やし、魔性を妨げる治癒の巫覡とは糸色の血は、()に珍しく面妖な血をしておる』

 

ひとえの頭を優しく撫でたサンピタラカムイ様の言葉にビクリと身体が跳ねる。私の『特典』が、ひとえの中に僅かでも移ってしまったのなら大変な事になる。『料理のスキル』なら問題ないけれど。

 

もしも『前世の記憶の保持』を受け継いでしまったら、彼女の身体は私に似て弱くて一人では生きていけない程にか弱い命になってしまったということ。

 

「オレは何にも出来なくてもお前達を養っていけるぐらい蓄えはあるぜ?景もしとりとひとえの世話もあるんだ。気張らなくて良いさ」

 

「……フフ、ありがとうございます」

 

しとりは不思議そうにひとえの光っている手のひらを握っているけれど。怪我をしていないから何も感じていないようです。

 

「(ドクトルに連絡して補助して貰うべきかな)」

 

そう悩むように自分の頬に手を添える。

 

おそらくドクトル・バタフライの方でも準備は進めているでしょう。しとりにも何かしら移っていると考えるべきなのか、はたまたひとえだけに移動しているのか。

 

それも調べなければいけない。

 

「しとりは何もありませんか?」

 

「ん?ん!ピカピカきれーだね!」

 

「そうですねえ」

 

しとりはひとえの力を気味悪がったり怖がったりせずに受け入れてくれるのは個魔の方や妖怪のおかげなのかも知れませんね。

 

あとでお礼を言わないとですね。

 

……しかし、『癒やしの力』となると問題は山積みですね。この子の力を狙ってくる相手もいるはず、そうなったときのために備えなければいえない。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。