二週間ほど頑張って徳利に注がれていた全ての神酒を飲んだものの、それでようやく私の心臓を保護する程度の力を授かる程度だ。
私の身体を守っていた前回の神酒の権能はひとえの身体に宿っていて、サンピタラカムイ様にお仕えする巫女の役目を担えるほど高位の霊力を得たわけですが、私は大切な娘を差し出すつもりはありません。
『神酒の濃度を限界まで下げて尚もこれか』
「オレとしては良いこと尽くめだ」
「…私は恥を何度も晒しただけです。酷いです」
そう私は文句を言いながら時折蛍火色に景色が見えるのも神酒の副作用かと考えていたその時、ひとえの両の手も同じように淡く蛍火色に染める光景に目を見開き、恐る恐る彼女の小さな手に触れる。
心臓の痛みが和らいだ?
「……これは『癒やしの力』?」
『ほう。お主の持つ
ひとえの頭を優しく撫でたサンピタラカムイ様の言葉にビクリと身体が跳ねる。私の『特典』が、ひとえの中に僅かでも移ってしまったのなら大変な事になる。『料理のスキル』なら問題ないけれど。
もしも『前世の記憶の保持』を受け継いでしまったら、彼女の身体は私に似て弱くて一人では生きていけない程にか弱い命になってしまったということ。
「オレは何にも出来なくてもお前達を養っていけるぐらい蓄えはあるぜ?景もしとりとひとえの世話もあるんだ。気張らなくて良いさ」
「……フフ、ありがとうございます」
しとりは不思議そうにひとえの光っている手のひらを握っているけれど。怪我をしていないから何も感じていないようです。
「(ドクトルに連絡して補助して貰うべきかな)」
そう悩むように自分の頬に手を添える。
おそらくドクトル・バタフライの方でも準備は進めているでしょう。しとりにも何かしら移っていると考えるべきなのか、はたまたひとえだけに移動しているのか。
それも調べなければいけない。
「しとりは何もありませんか?」
「ん?ん!ピカピカきれーだね!」
「そうですねえ」
しとりはひとえの力を気味悪がったり怖がったりせずに受け入れてくれるのは個魔の方や妖怪のおかげなのかも知れませんね。
あとでお礼を言わないとですね。
……しかし、『癒やしの力』となると問題は山積みですね。この子の力を狙ってくる相手もいるはず、そうなったときのために備えなければいえない。