「んだあ」
「ん!ん!」
パタパタと小さな手拭いを揺らして、ひとえの遊び相手をしてくれるしとりに嬉しく思いつつ、どうしたら二人に喜んでもらえるかな?と首を傾げながら、二人のために髪結いのリボンを作ることにした。
左之助さんにチョーカーを貰ったときは嬉しかったし、二人にもお揃いの物を用意してあげるのは良いかも知れない。二人がお揃いで使うには、もうちょっとだけ髪の毛を伸ばす必要がありますけど。
「あぶ」
「ん!」
「(しとりとひとえは何をしているのかしら?)」
さっきから『ん』と『あぶ』だけで会話のようなものをしているようにも見えるけど。さすがに違うわね、まだ四歳と零歳だから会話は出来ない。
「なあ、景」
「はい、なんですか?」
「また『あなた』って呼んでくれねえか?」
「……」
そう言って私を見つめる左之助さんに頬が少し引き釣り、かなり困惑してしまう。だって、あれは酔っているときに言ってしまっただけで、私個人としては名前を呼んでいたいんです。
でも、左之助さんがそう望むから仕方ないです。
「あ、あなた…っ」
「…ク、ハハ、やっぱり良いな。名前で呼ばれるのも好きだが、そうやって呼ばれるといつもより夫婦としての感じが増す」
嬉しそうに笑う左之助さんに私は不満げに頬っぺたを膨らませる。私だけ呼び方を変えるのは、やっぱり変だと思いますし、何より不公平です。
そもそも呼び方を変えるのはダメですね。
私がイヤです。寂しいです。
「母ちゃん、ひーちゃんうごいた!」
「うっ!」
「あら、あらぁ?」
まだ生まれて一月も経っていないのに寝返りをするなんてうちの子は天才なのでは?と思いながら、仰向けに戻してあげるも、またコロンと寝返りを打つ。
やっぱり、しとりと同じように天才なのでは?
私の指を握ってフンスと鼻息を荒く吹き出すひとえの顔は自信に満ち溢れ、とても可愛くてしとりと一緒にクスクスと笑いながら彼女の頭を優しく撫でてあげる。
「しとりのいもーと、かあいいねぇ」
「フフ、二人とも同じくらい可愛いですよ♪︎」
「ウ~ン、小柄な景が子供を抱き締めてるのは背徳感を唆られるな」
「何を口走っているんですか、この助兵衛」
すっと襟元を正して左之助さんを訝しむように見ると照れ臭そうに笑って誤魔化された。全く、子供がいるのに変なことは言わないで下さい。
「ん!父ちゃんめっ!」
「おお、悪かった。ごめんな?」
「……本当に反省しているんですか?」
「信じてくれねえのか?」
「信じてますよ、だからです」
左之助さんは、そういうことするでしょう?