某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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和風呪泉郷へ行こう 序

呪泉郷。

 

それは中国の秘境に存在する武芸者の修行場であり、百を越える悲劇的な呪われた逸話・伝説を持つ泉の郡地。落ちれば悲劇的な死を遂げた者の姿に変貌してしまうという恐ろしい効果を秘めている。

 

そして、日本にも幾つか存在しています。例えば「和風男溺泉」は一度落ちれば水を浴びる度に若い男の身体に変わるものです。

 

そして、不破信二のお見合い相手にやって来たのは和風犬溺泉や和風猫溺泉に落ちてしまった父娘。なんとも悲運的な二人に私は少しだけ親近感を覚えるものの、私自身は動物に変身する訳でもないので余り親しくするわけにはいきません。

 

「(左之助さんは私が動物になったら躾をするとか閉じ込めるなんて言っていましたけど。ああやって冗談を言ってもらえるように信用は回復しているんですね)」

 

「わんちゃん、しとりもなりたい」

 

「しとり、わんちゃんになったら左之助さんが怒っちゃうかもしれませんよ?」

 

「うぅ、父ちゃんだめ?」

 

しとりが、上目遣いでお願いした。

 

「許可する!!!」

 

「んだあ!」

 

……私の旦那様は親馬鹿のようです。

 

まあ、私も左之助さんのことを言えるほど厳しく接している訳ではありませんから、きっと私も親馬鹿なのでしょうね。それもまた良いことです。

 

「しとり、行っても入っちゃダメですよ?」

 

「ん!」

 

「景は入っても良いぞ」

 

「イヤですよ、犬小屋に住むのは」

 

「…………」

 

どこか揶揄うような左之助さんの言葉に言い返すと何故かニヤニヤと笑い始め、私の事を見下ろす彼の顔付きに首を傾げていたけれど。だんだんと自分の顔が熱く赤くなるのが分かり、ペチペチと彼の背中を叩いて怒る。

 

いやらしい!破廉恥!助兵衛大魔王!

 

そんなことばっかり考えて、本当に左之助さんは助兵衛すぎます!もっと節度を保って下さい!!私の事を何だと思っているですか!

 

「ハハハハ」

 

「おばかです!左之助さんのおばか!」

 

「ひーちゃん、母ちゃんおこってるねぇ?」

 

「だあ」

 

全く、子供がいるのにふしだらな事を想像するなんて何を考えているんですか。ムスッと怒った顔でしとりとひとえの傍に寄り、左之助さんを見据える。

 

「悪かったよ、ごめんな?」

 

「……信用できません」

 

「また肩揉むぞ?」

 

「肩凝りは諦めました」

 

「按摩じゃ許してくれねえのか」

 

当然です。

 

しばらく許してあげませんよ、私より大きくて強いのならもっと優しくしてほしいです。いえ、もう優しくて頼りになりますけど。

 

そういうのは本当にダメなんですよ?

 

 

 

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