某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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剣客警官の騒動 破

ザワザワと喧々囂々に賑わう町中にて。

 

私は買い物籠を持って出店の野菜や魚を吟味していると威圧的な歩き方で道の真ん中を歩く痣や包帯を身体や顔に巻いた剣客警官隊と遭遇した。おそらく、左之助さんと喧嘩して負けた警官隊だろうけど。

 

あの血走った目は相手を斬り殺しても構わないと云う復讐に燃え、彼らの手元には赤い鉢巻と惡一文字の背中を書き記した人相書きがチラリと見えた。

 

「(たかが一度喧嘩に負けたぐらいで、あんな血眼になるまで左之助さんに報復しようと狙うなんて、ずいぶんと剣客警官隊も暇なのね)」

 

そう心の中で愚痴を溢すけれど。

 

私には彼らを止める術は無いし。あるとしたら悲鳴を上げて、左之助さんか緋村剣心に助けを求める程度だろう。いや、そもそも緋村剣心が来る可能性は0に近い。

 

「失礼、其処の眼鏡のお嬢さん」

 

「えっ。な、なんでしょうか」

 

いきなり話し掛けられた驚きつつも佇まいを直して剣客警官隊を見上げる。……ダメだわ、顔付きはうろ覚えだけど、確かこの人は緋村剣心にボロ負けする、剣客警官隊の隊長を務める人だったはずよね。

 

「この男に見覚えは?」

 

「……いいえ、この人の事は存じません」

 

「本当にそうか?ごろつき長屋の糸色、貴様と『喧嘩屋の斬左』の相楽左之助は懇意にしているという報告は既に受けているぞ」

 

ヒュッと冷たい息が喉を通り抜け、思わず相手の顔を見つめてしまった。昨日、喧嘩に負けただけでそこまでするのかと驚愕し、私は何時からバレて───いや、何時から見られていたのかと恐怖に震える。

 

「私に何をさせるつもりですか?」

 

「ヤツを誘き寄せる餌になってもらおう」

 

「餌なんざ必要ねえよ。タコ」

 

私の腕を掴もうとした剣客警官の腕を別の腕が掴み、私の身体と誰かの身体が入れ替わる。───ううん、左之助さんが私を助けてくれたんだ。

 

「ったくよォ……悪いヤツを捕まえる筈の警官隊がか弱い女一人に集りやがって、オレを探してるなら直接会いに来いよ。それとも何か?お前らは人質がいねえと満足に喧嘩一つ売れねえのか、クソ野郎」

 

「ぐうッ、えぇい!さっさと離せ!」

 

そう煽るように問う左之助さんの言葉に怒りを露にして握られた腕を振りほどき、左腰に佩いていた軍刀に手を掛ける剣客警官隊の隊長と拳を鳴らして無造作に殴りやすい位置に拳を置いて構える左之助さんを見比べる。

 

「引っ捕らえろ!!」

 

「テメェ等は一対一(タイマン)も張れねえのかよ」

 

隊長の号令に十数名の剣客警官隊は一斉に抜刀し、左之助さんに向かって駆け出す。いくら左之助さんでも怪我を負っている上に、私みたいな足手まといを守りながら戦うなんて絶対に無理だ。

 

「うざってえなァ!!」

 

しかし、私の予想を遥かに上回る凄まじい強さと勢いで左之助さんは暴れまわり、四方八方から攻め立てる剣客警官隊の攻撃を往なし、軍刀を握る手を弾き、蹴りを使って応戦する。

 

「相手は一人だけだぞ!取り囲め!」

 

「喧嘩は数じゃねえよ、気合いと根性だ!」

 

ドゴッ!やらバキッ!やらと鈍く重苦しい打撃音を打ち出す左之助さんの左右の乱打を受け、一人、また一人と殴り飛ばされ、剣客警官隊の隊士が地面に倒れ伏す。

 

「其処の女を狙えッ!!」

 

「テメェ!?」

 

左之助さんに勝てないと踏んだのか。

 

私を狙えと叫ぶ声に従って、左之助さんの後ろに回り込んでいた剣客警官隊のひとりが私に向かって手を伸ばしてきた次の瞬間、目視不可能な素早さで赤みがかった茶色の髪を一房に束ねた男の背中に私の視界は埋め尽くされた。

 

「……あ、あなたは…!…」

 

「また、会ったでござるな」

 

緋村剣心が剣客警官隊を斬り倒していた。

 

いや、緋村剣心の握っている刀は逆刃刀だ。本来あるべき部位に刃は無く、刃は峰にあるため、剣客警官隊は斬られたのではなく打撃で昏倒させられたのだ。

 

「糸色さん、大丈夫!?」

 

「か、神谷さんまで…」

 

私のせいで、左之助さんと緋村剣心が出会った。

 

本来より早くなってしまった邂逅に一抹の不安を抱きつつ、初めて会ったとは思えない動きで剣客警官隊を拳で殴り、刀で薙ぎ、二人は突き進んでいく。

 

「やるじゃねえか、兄ちゃん」

 

「何、無手のお主に比べれば大した事は無い。しかし、刀を相手に良くやるものだ」

 

「あんな腰抜け野郎の刀でビビるかってんだ」

 

「そうでござるか」

 

二人の会話が聴こえる。私の存在で二人の出会うべき日の歴史が少しだけ早まったけど。あまり深く考え無くても問題はないと、そう私は信じていたい。

 

 

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