「いやはや、カモフラージュ用の雪造機が壊れてしまうとはメンテナンスも小まめに行った方が良かったようだね。話は変わるが新しく道具を作ったんだ」
「本当に唐突に変わりますね」
いきなり我が家にやって来たドクトル・バタフライは新しいひみつ道具を自慢するようにちゃぶ台の上に置いていき、しとりは小首を傾げている。
チューインガム型のひみつ道具。
頭の中でイメージしたものを風船のように膨らませて作ることの出来る『イメージガム』のラベルには蝶のマークが付いている。他にも色々なお菓子の形をしたひみつ道具があるけれど。
キラキラと目を輝かせるしとりをお膝の上に乗せて、勝手に取ったりしないように手を握りつつ、どうしたものかと悩んでしまう。
「ん!たべたい!」
「HAHAHA。私の作ったお菓子は不思議な力を持っているから、そう簡単に食べさせることは出来ないんだ。せめてしとり君のお母さんが許可したら、一つだけ食べさせてあげよう」
「ん!母ちゃん!」
「……しょうがないですね。一個だけですよ?」
「がむさん!」
「それはだめです」
嬉しそうに蝶の焼き印を押した丸いチューイガムを取ろうとするしとりの手の向きを変える。私が設計図を差し出したものなので効果は全て把握しています。
しとりが取ろうとしたのは『ロケットガム』という……まあ、その、噛んだらお尻の力で空を飛べるというか、ホバリングするというか、そういうひみつ道具ですから、女の子のしとりには絶対に食べさせません。
「むう…おまんじゅうさんは?」
「それはOKです」
「ん!おっけー!」
そう言っておまんじゅうを食べるしとりの口許に付いた食べ滓をハンカチーフで拭き取りつつ、まだまだ残っている食品型のひみつ道具を見下ろす。
「季節外れの雪も実験の結果…と」
「うむ。遭難した場合を想定して色々と試していたんだが、コンクフードは腹持ちが良すぎる上にカロリーもすごくてね。三キロも太ってしまった」
「絶対に食べません」
「おっとLadyに体重の話はNonsenseだったね」
「しとりたべたい!」
「太っちゃうわよ?」
モチモチとした彼女の頬っぺたを触りながら、更に柔らかくなるのかな?と考える。でも、あんな美味しいものの味を同時に飲むようなものはダメです。
夕御飯が食べられなくなりますし、お母さんはお相撲さんみたいになったしとりは見たくない。いえ、柔らかな枕になってくれそうですがダメです。
もうちょっとだけ可愛い子供のままで居てね?