「左之助さん、お洗濯物を畳みたいんですが…」
「お前、またオッサンと会ったろ」
「ただのお友達ですよ?」
「でも男だ」
私を胡座を掻く足の上に乗せて、ぎゅうぎゅうと抱き締める左之助さんのどんよりとした雰囲気に戸惑いながら、しとりに助けを求めるもお菓子に夢中で、私の方に視線を向ける事はない。
どうして、こうなったのだろう?
昨日はドクトル・バタフライの作ったひみつ道具や発明品の話を聴きつつ、私の身体を診察して貰っただけですし。何も疚しい気持ちはないのですが、左之助さんは私を疑っているのでしょうか。
「あの、お腹が苦しい…」
「ん」
「(離してはくれないんですね)……左之助さん、いい加減にしないと怒りますよ?ドクトルはお友達、それ以上になることもそれ以下になることもないです」
「分かってるよ。オレの嫉妬だ」
「……はあ、全くしょうがないですね。痛くしないなら抱き締めていていいですよ」
そう文句を言いながら私は背中を押し付け、座りやすい位置に身をよじって座り直す。しかし、こういうことになるも左之助さんの腕の中は私の特等席ということになるのかしら?
「景、面倒臭いとか思ってないか?」
「思ってません」
「本当か」
「しつこいとは思ってます」
「同じじゃねえか」
ムスッとした表情を浮かべた左之助さんは私の両脇に手を添え、ぐるりと身体の向きを変えて座るように、お互いの顔をしっかりと見えるようにした。
「三人目、ほしくねえか?」
「おばか」
ペチンと左之助さんのおでこを手のひらで叩き、お菓子を食べているしとりの傍に行き、火鉢の傍を陣取ってひとえのお守りをしてくれているドンと親分にお礼を言い、ゆっくりとひとえを抱き上げる。
「こんなに可愛い子が二人も要るのに、もっと欲しがるなんて強欲すぎますよ。それに、私はしとりとひとえがいれば満足です♪︎」
「ん!」
「う?」
まあ、最近のしとりはお菓子のことになると拗ねちゃいますし。ひとえは気がつけば眠っているような、ちょっとお寝坊さんかも知れませんが可愛い娘達です。
「確かに、オレも満足だ」
「フフ、そうでしょうとも!」
「まあ、ようやく隠し事も減ってきたしな」
「隠し事なんてないですよ?」
そう言うと左之助さんは「オッサンやススハム、不破のヤツとは話してるじゃねえか」と言い、私の顎をくいっと持ち上げ、親指の腹で唇をなぞった。
あれは転生した世界の進行具合を話しているだけで、とくに疚しい出来事ではないんですよね。転生の事は何となく話せない気持ちがあるので……。