「さて、大体の話はしたことだが。とある問題について君達に話しておこうと思う」
「待て。その話は俺に関係あるのか?」
「虎徹君の関わる『物語』だろうに。まあ、問題は其処ではなく現在進行形で『モヂカラ』という文字を具現化する能力を持っているのは糸色君だけ」
そう言うと全員の視線は私に集まり、私の抱っこしているひとえと小さな子供になったススハムの傍に行きたくてウズウズとしているしとりはその視線に気付きもしていませんね。
まあ、視線を集める理由はモヂカラ。ドクトル・バタフライの話したように文字を具現化し、その物体を作り出すという能力です。
「例えば『石』と書けば文字は『石』を出す」
私の方に視線を向ける彼に溜め息を吐きつつ、手近な場所に置いていた万年筆を手に取り、軽く手帳の頁に『石』と書けば丸い石が飛び出し、コトンとちゃぶ台の上を転がっていく。
「モヂカラには特性や属性も存在する。そして、糸色君の場合は奇しくもシンケンレッドを輩出する志葉家の『火のモヂカラ』と合致しており、しとり君とひとえ君の二人にも遺伝している可能性も高い」
「……アンタ、マジで不幸の元に生まれてるわね」
「あ、あはは、流石に否定できませんね」
「しかし、裏を返せば日輪に寄り添える月光と成り得る力だ。知っているかね、太陽は月が居なければ輝くことは出来ないのだよ」
どちらも欠ければ意味を成さないと言いたいんでしょうが、しとりもひとえも安心して暮らせる様な平和な世界で生きて欲しいんです。
私は意図せず巻き込まれてしまうけれど。決して、自分の意思で戦うことはないし、戦えるような強さもない。いっそのこと志葉家に影武者を出す血筋を……ん?
いやいや、流石にあり得ないですね。
そう自問自答を繰り返しながら何とも言えない気持ちを抱いてしまう。武藤君や賛さん、ひょっとしたら別の要因で別れるかも知れないけど。
「けど、特撮の敵だろ?」
「ヴァカめ!俺は斬るぞ!」
「アンタらと相楽カッケマッを一緒にするんじゃないわよ。炊事洗濯と物書き以外に、この子に出来ることはあると思うわけ?」
「あの、それは流石に……」
「何を言う。糸色君はユニークな性格をしているだろう。さらに言えばホムンクルスに成って以降、たまに無性に彼女を齧ってみたい欲求も存在するが」
「「えっ、キモ…」」
すすっと私はススハムの隣に移動して、いつもそんなことを考えていたんですかとドクトル・バタフライの事を少しだけ警戒する。
「ちなみに何処が旨そうなんだ?」
「お前、さてはヴァカなのか?」
それは私も思います、普通聞きませんよ?
「……コホン。まあ、私の秘密を一つ明かしたところで問題は無い。既に人間を食べたいという衝動問題は解消し、以前と変わらず雑食だ」
言い方を考えて下さい。