「ドクトル、確かに志葉家に技術面は協力すると申し出て気兼ね無くモヂカラを使える状態ですけど。私に『秘伝ディスク』の開発を押し付けるのは酷いです」
「何を言うのだね。モヂカラを使える転生者は君だけ、信二君やススハム君は身体的能力の向上する『特典』を選んだ故に不純且つ不要な異能は得ることは出来ず、モヂカラ無しに外道衆と戦うのは不可能と説明しただろう?」
「分かっていますよ。でも子育て中ですよ?」
私の言葉にドクトル・バタフライは笑って「だから君の娘達も連れてきているんじゃないか」と言ってのける。本当に最近のドクトル・バタフライはおかしい。
私達の今後の人生を心配して色々と準備を始めている事は知っているし、その事には感謝もしている。が、私が非戦闘員だと忘れないでほしい。
「で、秘伝ディスクの属性変化でしたよね」
「うむ」
「雷電ディスクは『火』のプラズマ化を利用して作成する事は出来ます。しかし、下手に性質を変えるというのは多大なリスクを背負っています」
雷電ディスクは原作『侍戦隊シンケンジャー』にも登場するディスクであるけれど。現在、二百年の歴史を誇る志葉家の古文書に私の記憶に残っているディスク系統の大多数は存在していなかった。
───つまり、私が作るしか無いのだ。
残り数年の間に登場するディスク達を作る。心臓と肺の痛みを感じない今だけが、未来の子供に遺す事の出来る道具を生み出す最後の機会なんだ。
「私にモヂカラを扱えれば良かったのだろうが、人の身を超えてしまった私には使えない。そして、私は三途の川に行くことも出来る」
「やだ、クサレ外道衆ですか?」
「腐ってはいないが、似たようなものだろう」
いえ、そこは否定しましょうよ。
もっともドクトル・バタフライの言葉を考えると真っ先に私達の中で堕ちてしまいそうな人もいるんですよね。不破信二、彼だけは人の身ながら狂気の中を笑って進んでいける修羅の血筋です。
彼だけは外道として黄泉還る可能性もある。
「それにしても糸色君は本当に色々な組織に狙われる要素を持っているね。いっそのことホムンクルスになってみるかね?」
「イヤです。私は愛する人の、左之助さんの腕の中で安らかに死にたいんです」
それだけが私の夢です。
まあ、日本漫画大国化および漫画による世界征服は諦めていませんけど。あの野望を叶えるには世界その物を危険に晒す能力が備わっています。
本当に私の人生は儘ならないものですね。