「景、何だこの珍妙な奴ら…」
「右からドロドロ、ナナシ、ヒトカラゲです」
「どうも」
「ナー!」
「ジッパ!」
一人だけ話すことの出来るドロドロ更に困惑する左之助さんの背広とネクタイを受け取りつつ、居間に座っている今までの妖怪達とは一癖も二癖も有りそうな彼らに頭を押さえて溜め息を吐いた。
まあ、その気持ちは分かります。
私も好き好んで悪者に関わりたいとは思いませんし。いえ、全員が全員悪いと思うほど短絡的且つ稚拙な考えはしていませんけど。
そう思っていると左之助さんが徐に右拳を握り締めて、思いっきりナナシの顔をぶん殴った。
見事な弧を描いて襖と障子を壊して吹き飛んでいくナナシの事を訳も分からず見つめていたその時、左之助さんの手に何かが落ちる。
「ほらよ、盗まれてるぞ」
「ショドウフォン!?」
どこで情報を聞き付けたのだと驚きつつ、私は茶色いショドウフォンを袖の中に仕舞い、ナナシの行動に困惑しながらもドロドロとヒトカラゲの二人はしとりを私の方に寄越してくれ、私もひとえを抱き締める。
「ナ!ナー!シィー!」
雄叫びを上げて蛮刀を引き抜くナナシを取り押さえるためにドロドロとヒトカラゲが向かった瞬間、彼らは無造作に身体を斬り付けられる。
さっきまでの語らいは演技だったのね。
「母者、ディスクも何枚か盗まれてる」
「ディスクまでッ」
私の焦る声に気付いた左之助さんが蛮刀を持つナナシに近付き、紙一重の間合いで振り下ろされる蛮刀を躱し、右フックを叩き込み、頭を掴んでの膝蹴りを食らわせ、がら空きのボディに二重の極みが撃ち込まれた。
凄まじい衝撃波はナナシの身体を貫通し、彼の隠し持っていた秘伝ディスクは地面に落ち、ドンと親分が咥えて取り戻してくれた。
良かった、全部ちゃんとあります。
「ナァー!!」
お腹を押さえて蹲るナナシの姿に思わず、私は戸惑う。確かに生身で戦うシーンもあるけど、パンチだけで戦闘員を圧倒しているのは可笑しいです!
「景、それで全部か?」
「はい。ちゃんとあります!」
「そうか。オイ」
「ん!父ちゃん、ぱんち!」
左之助さんはしとりの言葉に笑い、渾身の右パンチをナナシの顔に叩き込み、殴り倒してしまった。あまりにも現実離れした光景に何とも言えない感情を抱きつつ、私は左之助さんを見つめる。
「気を付けろよ?あとお前らも帰れ」
「ジッパ!」
「では」
そそくさと帰っていく二人にしとりは名残惜しそうに手を振り、私も盗みも何もせずに帰ってくれた二人に手を振る。