ひとえの寝返りを打つ姿に感動を覚えつつ、私のお膝の上に座っているしとりの事を抱き締める。二人とも元気に遊んでいるけど、どうにも人外の存在を惹き付けやすい体質をしているようです。
私の悪いところを受け継いでいるようで、ほんの申し訳無さと嬉しさを覚えてしまう。ドクトル・バタフライも素直に奥さんや息子さんと会えば良いのに、どうして離れて過ごすのか分かりませんね。
「糸色君、遂に完成したぞ!」
「び、ビックリしたぁ…」
バンッ!と襖を力任せに開けて入ってきたドクトル・バタフライに驚き、ドキドキと早鐘を打つように早まる動悸を抑えるように深呼吸を繰り返し、おまんじゅうを食べているしとりを抱っこして彼を見上げる。
「すまない。逸ってしまった様だ」
「い、いえ、大丈夫ですけど。あまり怖いことをするのは止めてもらえますか?」
私はそう彼に注意しながらおまんじゅうを食べて汚れたしとりの手をハンカチーフで拭いて上げ、いそいそと台所に連れていく後を何故か彼は着いてくる。
なぜ?
「先程も言っていたが遂に完成したのだ」
「……もう、何がですか?」
「君の描いた『るろうに剣心』を元ネタとして作り上げた『ヒーローマシン』だ!いやー、苦節二ヶ月の末にようやく成功したひみつ道具だ」
『ヒーローマシン』。
ドラえもんの劇場版『パラレル西遊記』に登場するひみつ道具であり、ゲームの電源を切らずに放置すると現実世界に干渉する等、とんでもなく恐ろしい極めて危険なひみつ道具のはずです。
「貴方、前に危ないものは作らないって居ませんでしたか?それなのに『ヒーローマシン』を作って、本人バトルをさせるつもりなんですか」
「それもまた一興だろう。しかし、転生者たる者、一度くらい原作介入をしてみたいだろう?」
「はあ、おばかなんですか?」
ペチペチと彼の腕を叩きながら「ゲームとはいえ原作に介入するのはダメな気がします。そもそも危ない事はしちゃだめです!」と伝える。
「しかし、作って使わないのはダメだろう?」
「そ、それはそうですけど……」
「少しやるだけだ。問題ないだろう?」
「で、でも」
「何も、問題は、ないんだ」
ずいずいと近付いてきて、私の事を見下ろすドクトル・バタフライの言い様のない圧に負け、私はコクコクと何度も頷いてしまった。
やっぱり迫られてしまうのダメですね。背丈の高い人は怖いことを思い出してしまうし、みんなには言っていないけど。まだ左之助さん以外の殿方は、ほんのちょっぴり苦手なままです。