我が家に戻って、四乃森夫妻をお出迎えする。しとりは初めて会う人達なので、どうやって接しようかと悩んでいるみたいですけど。
ひとえはスヤスヤと座布団に寝転んで眠っている。この前はドンの寝床に押し入って、そのまま寝付いてしまい、ドンは寝床の傍で寝ていましたし。
「な、なんか未来的な家ね」
「私もそう思います」
操さんの言葉に同意しながら居間の方へ案内し、私はいつものようにお湯を沸かして茶葉を急須に入れて人数分の湯呑みを用意して居間に持っていく。
個魔の方は四乃森蒼紫の気配を感じ取る技術を警戒し、しとりの影に潜んでいるというのに、彼は静かに左之助さんのお膝に座っているしとりを見つめている。
左之助さんは知っているので気付いていないふりをしているけど。四乃森蒼紫はものすごくしとりの事を見つめ、操さんも怪訝そうにしとりを見つめる。
「ん?どーしたのぉ?」
「……いや、気にするな。糸色、お前に関する事なのかは知らないが良からぬ者は招き入れない事を勧める。お前は操の友人だからな」
「重々承知していますよ」
「悪いヤツじゃねえよ」
それはもう答えなのでは?なんていう風に思いながら左之助さんの湯呑みにお茶を淹れる。熱いお茶なのに、よくそんな風に飲めますよね。
「で、用件はなんだ」
「結婚の報告だ。手紙だけでも良かったんだが、操の希望でな。糸色に俺達の絵を描いて貰えないかを相談しに来たんだ」
「あら、それは素敵ですね♪︎」
「そうでしょう!それなのに蒼紫様ったら『今の糸色に近付くのは止めておけ、なにか邪な気配を感じることがある』とか言ってたのよ!」
……まだ、私の事を疑う人はいたんですね。
そもそもですね。
私は悪いことをしたことはないですし、何なら異世界に転生したりしてチートを授かって魔王になるような悪行も善行も積んでいません。
至って普通の人妻です。
「左之助さん、私って怪しいですか?」
「いや?たまに不思議ではある」
それはもう怪しいの同義語ではないですか?
少しだけショックを受けながら左之助さんの隣に座り直して、左之助さんと一緒に改めて二人の相談や話を聞いて、二時間ほど話し込んでしまう。
二人とも旅館は取っているらしく、今回の北海道訪問は新婚旅行も兼ねているのでしょうね。私達は追われるみたいに出国してしまいましたもんね。
こういうところは羨ましいです。
まあ、今はもう幸せの絶頂ですけど。
二人とも自分なりにしあわせになってくださいね。