某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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それは夢現ではなく 序

無事に脱出できた私達の夫婦関係を壊し掛けた邪悪なひみつ道具の『ヒーローマシン』をススハムと不破信二の二人に徹底的に破壊して貰い、二度と作ることが無いようにドクトル・バタフライに伝える。

 

しかし、原作軸の相楽左之助はほんの少しだけ怖くて身体が今も彼の眼差しを思い出して、どうしても竦み怯えそうになってしまう。

 

───ただ、欲しがる。

 

そう言ってしまえば簡単だけど。『ヒーローマシン』の中に居た相楽左之助、彼は私がいないだけで普段から休みもせずに喧嘩に明け暮れて、いつの間にか心を休める時間を失って緋村剣心に敗北した存在だ。

 

私達の知っている左之助さんは負けても諦めず、自分の強さに創意工夫を行って格上の相手と戦ってきた心身共に強く優しい男の人です。

 

「しかし、オッサンもすげえヤツを作るよな。オレと景が出会わなかった世界、そんなもんは無いと思ってたんがなあ……」

 

「……そうですね」

 

ふと、私を抱き締めて話す左之助さんの言葉に言い淀みながはも頷き、私は彼の腕に顔を埋める。あんなものは知りたくなかった。

 

ただのゲームとして再現された世界だったとしても私は恐ろしくて恐ろしくて堪らなかった。大好きな人が大好きな人じゃなくて、まるで敵を見るように見つめてくる視線なんて知りたくなかった。

 

「左之助さんは、いつも通りが良いです」

 

無理に原作軸に行ってみようなんて考えず、今の幸せを噛み締める方が有意義だと思う。なにより私が愛している左之助さんはたった一人です。

 

「オレも景はいつも通りが好きだぞ」

 

「フフ、なんですかそれ。私がいつも通りじゃないみたいに……いえ、そうですね。ウソはよくない、良くないことですもんね」

 

「話してくれるか?」

 

「私、血を吐いたんです。左之助さんに会いたくて少し無茶をしてしまったのもありますが……」

 

多分、もう無理なんでしょうね。騙して、騙して、自分の身体を騙し続けていたけど。もう左之助さんと歩いていくには時間が足りない。

 

ドクトル・バタフライの作ったひみつ道具も時間に作用する効果を持つ道具は私には使えない。おそらく私の歩みはもうすぐ終わるんでしょうね。

 

ずっと、昔の事を思い出す。

 

この世界に生まれ変わるとき、私は神様に『統一された世界』を求めた転生者、それから『ラスボスになりたい』と願った転生者がいることを。

 

一人には出会えた。

 

じゃあ、もうひとりは何処に居るのだろう。

 

そう考えてしまうと、答えは出る。

 

その人は、未来か過去の『物語』にいる。

 

ああ、本当に憂鬱です

 

そして、もう相手は分かっている。

 

「ドクトルが唐突に変な事をするわけがないんです」

 

「いや、あのオッサンはするぞ」

 

「そうですかねえ……」

 

左之助さんの胸元に身体を寄せて、私は『侍戦隊シンケンジャー』と繋がっているという事実。そして、『ラスボスになりたい』と願った転生者の辿り着いた『物語』の事も分かっている。

 

『仮面ライダーディケイド』、その世界に居る。

 

 

 

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