「私の原因不明の痛みや苦しみは貴方の受けた物を押し付けていると考えて良いんですね?」
「それも概ね正解だ。尤もらしく理由を付けるなら、ラスボスとしての生き方に無駄な障害に成り得る可能性のあるヤツに与えている」
私以外の転生者ということでしょうね。あるいは、私の子供達の誰かにも与えている。そう考えるべきなのでしょうが、自己中心的且つ身勝手な言い分とやり方は本当に不愉快です。
「そう睨み付けるな。お詫びにコイツをやる」
そう言うと彼はカードを差し出してきた。いつの間にか距離の開いていた場所は狭く、こじんまりとした喫茶店の席に変わり、窓の外には現代が見えた。
恐る恐る、私はカードを受け取る。
何も描かれていない?
「よく見てみろ」
「緑色のライダー?」
「仮面ライダーは知っているが、ゲームに関してはやり込んでいないだろう。アーケード版のゲーム。それに仮面ライダーバトルにはソイツが登場する」
彼の言葉に思わず、頭を抱える。
さっきからどういうつもりなのだろう。自分を脅かす存在として私に痛みや苦しみを押し付けているのに、その相手に戦える力を与えるのは馬鹿なのかしら?
「ソイツをお前の玄孫の更に子供に与える」
「玄孫」
「ソイツは門矢士の仲間で居られるか、楽しみだ」
ああ、成る程、そういうことですか。
「貴方はしっかりと門矢士に旅の終わりを与えてあげたいんですね。永遠の通りすがりの旅人ではなく、彼だけの世界を作るために……」
仮面ライダーダークディケイドは元を辿れば門矢士の力の側面とも言える存在。その力を持ってすれば世界の消滅を阻止し、均衡を保つ事は出来るでしょうけど。
「私に何を望んでいるんですか?」
「糸色景、オレは君を高く評価している。正直、世界を繋げる要因を持たなければ見向きもしなかっただろうが、お前の傍にいるヤツは総じて変化する」
「変化?」
「無自覚なのか?まあ、そうでなければ他人を惹き付ける感性を抑えもしないのはおかしいか。いずれオレと戦うことになるんだ」
ゆっくりと立ち上がった彼はオーロラカーテンを出して、静かに私に向かって笑った。門矢士は写真館、対して彼は喫茶店を拠点にしているようだ。
「最後に名前を教えて貰えますか?」
「ああ、自己紹介がまだだったな。オレは楯敷ツカサ、門の対義語の敷、矢の対義語の楯、そしてツカサっていう名前で分かると思うが」
「リ・イマジネェーションの門矢士になった。成り代わりや憑依ではなく純然たる本人のまま『ラスボス』という地位まで登り詰めているんでしょう」
そう言って私はオーロラカーテンを抜ける前にカードを返す。おそらく私に見せて触れさせた理由は私の『物語を繋げる力』で認識させるためですね。