縁側の近くで七輪を使ってお餅を焼く私の傍に座って、パチパチと燃えて弾ける炭を見つめるひとえの頭を押さえる。そんなに近づいたら火傷してしまいますよ?
「かーしゃま、あちち?」
「熱いので待って下さいね」
ひとえのために左之助さんが作ってくれた小さなちゃぶ台に小皿にお醤油ときな粉を用意し、一口サイズに切り分けた焼き餅を冷まして食べるように伝える。
しとりはお姉ちゃんとしての威厳を示すように「ふう、ふぅっ」と吐息を吹きかけ、少し冷ましたきな粉をまぶした焼き餅をひとえに食べさせている。
フフ、二人とも可愛いですね。
「むぅ?むっ」
「ん!んっ!んーーっ!!」
お餅に喜ぶ二人の姿に満足しながら私も焼き餅にお醤油を付けて食べる。うん、やっぱり焼き餅は美味しいです。お父様の突いて作ったお餅もいいですが、こうして市販で買えるお餅も良いものです。
「個魔の方もどうぞぉ」
「ありがとう、母者。海苔貰える?」
「お醤油もありますよ」
もっとも、そんなことを言ったらお父様が拗ねて大変な事になるでしょうね。
もにょもにょとお餅を噛みきろうとしているのに、噛みきれずにいるひとえのお箸を受け取り、少しお餅を引っ張って千切ってあげる。
「あいあとぉ」
「お返事できるのは良いことです♪︎」
「ひーちゃん、えらいねぇ」
私としとりに挟まれて座っているひとえを褒めると嬉しそうにお餅を飲み込み、にっこりと笑ってくれる。やっぱり私の娘達は最高に可愛いですね。
今ごろ左之助さんと緋村剣心は偽者の喧嘩屋を探しているのでしょうけど。左之助さんの名前の重さは誰にも受け継げない。
それに私達の子供は女の子なので、左之助さんも流石に喧嘩のやり方を教える事を渋っています。いえ、喧嘩のやり方を教えるつもりはないのでしょうけど。
「貴女達は大きくなったら何になるのかな」
「母者、流石に気が早すぎる」
「そうですかね?」
私の呟きに言葉を返してくれた個魔の方のお皿に焼き餅を更に乗せてあげる。正直、楯敷ツカサの件も私は不安に思っている。彼は私の子供達に何かしら、もっと酷いものを押し付けている可能性もある。
「んっ!母様、まだ食べたい!」
「フフ、じゃあまだ焼きますね」
「ひーもほしい!」
「ひとえのも焼いてあげますから、そんなに急いで食べなくて大丈夫ですよ」
「母者、私にもくれ」
「三人分、焼きますから焦らないで、ね?」
そう言って三人のお餅を焼いていると塀の上を歩く変人がいた。大槌を担いで、背中に『亜』の文字を背負った変人さんがいた。
「…………個魔の方」
「殴っとく」
そうしてください。