「景、お前は本当に…」
「なんですか?」
「天災のような人でござるなあ」
「てんさい?ん!母様、てんさい!」
「かーしゃま、てんしゃい!」
私の左右の手を握って元気に笑うしとりとひとえの姉妹に苦笑を浮かべつつ、出来れば普通に呼んで貰えると私は嬉しいんですけど。
あと天災は違いますからね?と告げるも二人は不思議そうに小首を可愛らしく傾けるばかりです。もう少し大きくなったら分かりやすく教えてあげましょう。
いつか「ばばあウザい!」とか「どけよ、おばさん!」なんて言われる日が来るのだろうか。うぅ、なんだか心臓じゃなくてお腹の辺りが痛む。
「まあ、これで無事に終わったって事だろう。にしてもウィルのヤツも変なのに絡まれることがあるとか言ってたが、アイツ大丈夫なのか?」
「拙者もそれはウィリアム殿は何故か出海殿に似ていて話すのは気恥ずかしいでござるよ。外国の者の筈なのに、やけに日本に詳しいのも気になるが…」
チラリと私を見下ろす二人に首を傾げながら「なにかあるんですか?」と訊ねるも「いや、こっちの話だ」や「そうでござるな」と言葉を濁される。
なんだか疎外感を感じます。
「しとり、ひとえ、お父さんに突撃です」
「ん!」
「ぎゅうするー!」
「おっしゃ来い!」
私の合図にトタトタと駆け出した姉妹を受け止めるためにしゃがんだ左之助さんの腕の中に二人は包み込まれ、そのまま軽々と左之助さんは姉妹を抱き上げる。
羨ましいけど、今回は我慢する。
「緋村さん、変人の事なんですけど」
「おろ。拙者に聴くとは珍しい」
「……別に嫌ってないです。ほんのちょっとだけ緋村さんの『お前はいつも事件の近くにいるな』という視線が苦手なだけなんです」
「お、おろぉ……」
そう伝えると緋村剣心は自覚していたらしく困ったように視線を逸らしている。私にも我慢の限界はありますからね?あんなにいつもいつも怪しまれるのは流石に傷付いてしまいます。
確かに勘違いされるかも知れませんが、私は戦闘力皆無のひ弱な人妻ですよ。この細腕に人を倒せる力があると本気で思っているんですか。
「景、どっちか受け取ってくれ」
「え?あらあら」
頭を振って抱き締める強さがすごすぎるのと振り袖のせいで前が見えなくなっている左之助さんを見ながら、思わずクスクスと笑ってしまう。
左之助さんと一緒だと本当に楽しいことばかりで、なんだか怖いことも簡単に忘れることが出来ます。……ただ、やっぱり私の核鉄を持っていった楯敷ツカサのことは少し気掛かりです。
賛さんのところには現れていないみたいだったけど。何かしら選別している可能性もあります。