某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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鬼の子 急

ドクトル・バタフライ製の蚊取り線香(ひみつ道具の性能を流用しているとか)を焚いて虫の入って来ない蚊帳の中を出て、縁側に腰掛けて、のんびりと夏季の少し蒸し暑い夜空を眺めながら楯敷ツカサの奪っていった核鉄の代わりに与えられた核鉄をなぞる。

 

私の核鉄は異常な熱を帯びる事が多く、あの時も何か見覚えのある道具に変形していたけれど。楯敷ツカサの事を探ろうにも彼の情報はドクトル・バタフライでも、そう簡単に見つけることは出来ない。

 

コトリと核鉄を縁側に置いて、パタパタと団扇で顔を少し扇ぐ。しとりとひとえも眠っているから、いつも騒がしくて楽しい我が家も静かです。

 

こういう静かな時間も悪くはありませんね。

 

「景、眠れねえのか」

 

「左之助さん、寝ていたんじゃ…」

 

「さてな」

 

ゆっくりと着流しを着た左之助さんが私の隣に座り、サンピタラカムイ様に戴いた赤い盃を差し出してきた。お酒は苦手なんですが、たまには私もお酒を飲んで晩酌にお付き合いしますね。

 

「ほら、乾杯しようぜ」

 

「フフ、乾杯です♪︎」

 

なんだか祝言を挙げた時の事を思い出して、嬉しく想いながら水で薄めているお酒にほうっと吐息をこぼす。あまりお酒は得意ではないので、これでも頭がぼんやりとし始めてしまう。

 

「もう水にするか?」

 

「い、いえ、あと一杯だけお付き合いします…」

 

「なら、もっと此方に寄りな」

 

「あっ」

 

ぐいっと肩を抱かれて、されるがままに左之助さんに身体を寄せてしまう。嬉しく想いながらも気恥ずかしくて、上手く彼の顔を見ることが出来ない。

 

やっぱり、いつまでも左之助さんが大好きです。

 

「景、お前はオレが知らないだけで沢山の事を抱えて生きているんだよな。だがよ、オレとお前は家族なんだから変に溜め込まなくて良いんだぜ?」

 

「……フフ、左之助さんは優しいですね」

 

そう言って私は左之助さんに寄りかかり、赤い盃の中に出来る夏の月と波紋を見下ろす。いつか伝えることになるのかも知れないし、絶対に隠し通すと決めていた私だけの秘密を教える事はあるのかも知れない。

 

「ひっく、んへへぇ~~」

 

スリスリと私は左之助さんに抱き付いて、頬擦りをしながら彼の首筋に顔を埋めて真っ正面から抱き付くように座り、ぎゅうぅっと力一杯抱き締めてあげる。

 

「あなた、しゅきい……」

 

「おう。オレも好きだぜ」

 

「ちーがーうー!だいしゅきなのぉ!」

 

ペチペチと彼の胸板を叩いて怒る。私が好きなんだから、大好きって返すのは当然です!いっぱい、私を愛しているって伝えてください!!

 

「酔うと一層可愛いな」

 

「わらひ、かぁいいでふかぁ……んっ」

 

ちゅうっとキスをして縁側に仰向けに倒れ、パタパタと足を動かして大好きな左之助さんに両手を広げて、こっちに来てほしいとアピールをしてみる。

 

「ぎゅう、して…♪︎」

 

 

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