某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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人形の君 序

昨晩は、ダメなところを見せちゃった。

 

そう少しばかりショックを受けつつ、本を並べて用意していると、コツコツと洋靴(ブーツ)の底を鳴らして歩く銀髪の美女を見掛け、思わず目を見開く。

 

あれはフランシーヌ人形

 

いえ、違う、まだ訪れる時期じゃない。

 

おそらくフランシーヌ人形の格好をしている才賀貞義だろう。今は「しろがね」ディーン・メーストルとして活動し、人形を破壊する者として生きている時代だ。

 

「ん?やあやあ、誰かと思えば糸色景じゃないか!この前は北海道に居たのに、いつの間に東京に帰ってきていたんだい!」

 

「……あの、脳が混乱するので女の人の格好は止めて貰えますか?」

 

「お安い御用さ。しかし、随分と僕の事を面白く描いているようだが、本当に未来を見通す力を持っているなら是非とも僕の力にしたいものだ」

 

その言葉にビクリと身体が跳ねる。

 

そう、そうだった。

 

他の敵組織の首領や総帥と違って、ディーン・メーストルはありとあらゆる分野に精通する錬金術師であり、私の描いた『からくりサーカス』も最後まで読んでいる可能性だってあり得る。

 

「未来を変えるつもりですか?」

 

いいや、僕の役目は何となく見えた(・・・・・・・・・・・・・・・・)。そして、僕の歩んでいる道は間違っていない。不運にも面倒臭い奴らを巻き込んでしまっただけ、君の予知なんて簡単に覆してあげるとも!」

 

「私の筋書き(シナリオ)通りに進んで覆すんですか?」

 

「そうさ。何かを間違える前に君と出会えたのは素晴らしく最高の幸運だろう。ただし、他のしろがねに『からくりサーカス』を読ませるつもりはないよ。ネタバラシは最後にするのが良いんだ」

 

そう言うとディーン・メーストルは顔をフランシーヌ人形に戻して、どこかに行ってしまった。なんだか大変な事になりそうですが、不用意に原作を変えるつもりはないそうなので安心します。

 

しかし、どうやって誤魔化そう。

 

「誤魔化すのは無理だろうな」

 

「ひゃあっ!?」

 

カシャッとシャッターを切る音と唐突に話し掛けられた事に驚きつつ、風来坊の様な格好で二眼レフのカメラを構える楯敷ツカサを睨んで見据える。

 

「……さっきの、どういう意味ですか?」

 

「そのまんまだ。フェイスレスは少なくともマジで原作遵守しているが、変に脳を焼かれたせいで自分の結末を再現しようとしている」

 

「成る程、要するに悪の美学ですね」

 

「まあ、そういうことだ。ちなみに今日はこの前取った写真を渡しに来ただけだ」

 

そう言うと彼は私の隣に座った。

 

門矢士と違って、ぶれていない。

 

 

 

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