某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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葵屋の防衛戦 序

大鎌と分銅による多段式波状攻撃を繰り出す本条鎌足の動きを只の一般人、それも一分もまともに走れない程に貧弱な私の肉眼では捉えきれず、真っ直ぐ姿勢を正して少しでも攻撃の当たる面積を減らす。

 

「ホラホラホラァ!避けないと弾けるわよ!」

 

「こんの鎌女(・・)がっ!!」

 

「くう゛ッ!?」

 

物量の多さで神谷さんと巻町さんを攻め立ていた本条鎌足の動きが止まり、自然と彼女の視線は志々雄真実一派の戦闘員を蹴散らすひょっとこや式尉に向く。

 

おそらく彼女の秘密を喋っていないことに驚いているんだろうけど。御庭番衆の方々は人の秘密を妄りに言い触らしたりする人達じゃない。

 

「フフフ、志々雄様には強さはかなり劣るけど。中々に心意気は素敵じゃないの」

 

そう言うと本条鎌足は大鎌を斜め後ろに引くように構えた。草刈りや木の幹を薙ぐ戦斧を彷彿とさせる構えに空気の重みが増える。

 

「本条流大鎌術『乱弁天』ッ!!」

 

両腕の力を振り絞るように大鎌を振り上げ、頭上で高速回転させて大鎌と分銅を不規則に薙ぐ本条鎌足の足元に砂塵の嵐が吹き荒れ、徐々に鎖分銅の間合いが拡がっていくのが素人の私にも分かる。

 

このまま待ちに徹していたら逃げ場を失う。

 

「薫さん、糸色さん、私に命預けられる?」

 

「えぇ、預けるわ!」

 

「私の命も巻町さんに預けます」

 

突然の問いかけに神谷さんも私も驚きの余り、目の前に迫り来る鎖分銅の事を忘れて巻町さんを見据え、直ぐに彼女の提案を肯定する言葉を伝えた。

 

その、次の瞬間だった。

 

「貫殺飛苦無ッ!!」

 

「いくら飛び道具を使おうと無駄よ!私の纏う大鎌と分銅の制空圏に入った物は即座に薙ぎ払う!!」

 

巻町さんは「葵屋」の屋根に飛び移り、大量の苦無を両手に構えて苦無を乱れ撃つ。しかし、本条鎌足の言う通り、今更飛び道具を使うのは得策とは言えない。

 

「薫さん!」

 

「えぇ、分かってる!」

 

「今度は死ぬ覚悟の特攻って訳ね。けど、そういうのを勇気を無謀と履き違えるって言うのよ!」

 

神谷さんの首に大鎌が当たると誰もが思った次の瞬間、神谷さんは左右の手を交差させ、大鎌の柄を手の甲で挟み込み、真剣白刃取りの様に捕らえた。

 

「うっそぉ…!?」

 

「神谷活心流奥義『刃止め』…!!」

 

大鎌と分銅を繋ぐ鉄の輪に木刀を差し込み、そのまま神谷さんは流れるような動きで本条鎌足の襟首と片腕を掴み、見事な一本背負いを決めた。

 

「……()ッ…くァッ!?…」

 

「これで勝負アリよ!!」

 

───が。背中を地面に叩きつけられながらも追撃を試みていた本条鎌足の顔に向かって、巻町さんの怪鳥蹴りが炸裂し、見事に意識を刈り取った。

 

「さあ、次の相手はドイツだ!」

 

「相手になるわよ!」

 

そう言って二人は苦無と木刀を構えた。

 

 

 

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