「……あ、美味しい」
「そうだろう。おやっさんの珈琲は世界一だ」
ウンウンと自慢するように腕を組み、頷く楯敷ツカサの顔は親類の良いところに気付いて貰えた子供のように見える。いえ、実際に私より年下なのでしょうけど。
「そろそろ私を呼んだ理由を聞いても?」
「単刀直入に言うと、アンタをノバショッカーに幹部として迎え入れたい。殆んどの糸色に頼んでみたが、みんな『お断りします』だったんだぜ?」
「なら、答えは分かっていますよね?」
「やっぱり、そうだよなあ」
そう言ってテーブルに突っ伏する楯敷ツカサは本当に変わった転生者だ。その気になければ、さっきのファンガイアの使う能力を使えるのに今は使っていない。
それにしても、ノバショッカーとなると平成第二期の時代に登場する組織です。『仮面ライダーゴースト』に『仮面ライダー1号』が、本郷猛が登場している。
「─────ッッ、あなたまさか!?」
「あれ?意外と早く気付いたな」
今まさに私は最悪の展開とも無理やりテコ入れを行った様にも思える行為に巻き込まれてしまった。楯敷ツカサは並行世界に移動できる。
つまり、
「向こうで認知を得れば簡単だ。あとは最後に糸色景が思い出した世界を、オレの力で無理やり寄せてしまえば簡単に世界はくっ付ける事が出来る」
「……ファンガイアの催眠術というのも認識を逸らすために、わざと失敗した風に装っていたわけですか。随分と姑息な手段を取るんですね」
「オレは用意周到なラスボスだからな」
そう言って笑う楯敷ツカサに唇を噛み、出し抜かれた事を悔いる。でも、まだ繋がっているのは『初代仮面ライダー』の『物語』だけ────。
「無駄だ。もう世界はオレのモノだ」
「いいえ、無駄な行為などありません。如何なる出来事に巻き込まれても諦めずに生きていける勇気は必要です。世界に唯一無二は存在しない…!」
「誰も守ってくれないのに勇ましいな」
「その台詞はNOだ。全く
「ドクトル、バタフライ……!」
その言葉使いと声に私達はカウンター席に視線を向け、私は安堵の息をこぼして、楯敷ツカサは舌打ちをしながら忌々しげに彼の名前を呟いた。
「Goodイブニングだね。糸色君、生憎と話せることは少ないのだが、此方の事情に巻き込んでしまって申し訳ない。私達の世界に戻ろうか、楯敷ツカサ」
怒気を孕んだ声が聴こえ、私は居間に戻っていた。