某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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葵屋の防衛戦 破

神谷さんと巻町さんのふたりが十本刀のひとり、本条鎌足を倒したことで戦闘員の士気は著しく低下し、御庭番衆の圧力も相まって、志々雄真実一派のその勢いを押し返し始める。

 

その中に混じって戦う明神君は自分の身の丈を遥かに上回る巨漢武藤要と、そして偶然にも私が吹き飛ばしてしまった包帯を身体に巻いた「飛翔」の刈羽蝙也の二人と戦っている。

 

「邪魔だ、後ろに下がれ!」

 

「ぐっ、しかし蝙也様!」

 

「お前はあの女を捕まえれば良いのだッ」

 

傷を負っているとはいえど十本刀のひとりに、その十本刀にも劣らない強さを持つ戦闘員の最前線に立つ男の二人に悪戦苦闘しながらも木刀で対等に渡り合う。

 

「貴様もいい加減に落ちろ、小僧!!」

 

「だからオレは最初から地面に立ってんだよ!!」

 

爆煙と共に舞い上がって手甲剣を振るい、滑空と飛翔を繰り返す刈羽蝙也の襲撃に傷付き、ギリギリの致命傷を避けた紙一重の間合いで躱し、渾身の力を込めて逆胴に木刀を振るった。

 

その一撃が刈羽蝙也の外套を僅かに切り裂き、飛行操作と滑空の停滞を歪め、爆煙を起こして飛び上がる彼を追随するように跳び、足首を掴み、膝を踏み台にして刈羽蝙也よりも高く、明神君は翔んだ。

 

「見様見真似『龍槌閃』ッ!!」

 

「ぐっ、ぬおぉおっ!!?」

 

刈羽蝙也は極限まで身体の肉を削ぎ、超軽量化したことで飛翔能力を得ている。しかし、そこに明神君という子供ながらも鍛えている男の子が加われば、彼の飛翔能力は完全に制御を失う。

 

其処を見事に見極めた明神君の飛天御剣流「龍槌閃」によって刈羽蝙也は脳天を木刀で打たれ、落下の勢いと共に二度目の墜落を決めた。

 

「…ゴホッ…!…さあ、次はお前だ…!」

 

「……蝙也様の仇は俺が取る!」

 

本来であれば元服を迎えた明神君と戦う筈だった武藤要に木刀の切っ先を向け、そう明神君は叫ぶ。その叫びに応えるように統一された戦闘員の衣装の上半身を脱ぎ捨て、武藤要は一撃必殺の唐竹割りに全身全霊の気迫を乗せ、刀を大上段に構える。

 

ゆっくりと乱れた呼気を整えた明神君は正眼に木刀を構え、自分より大きく圧倒的な体躯の差を持つ相手に臆せず、怯まず、静かに相手の全体を見据える。

 

「カァッ!!!」

 

全身全霊を込めた唐竹割りを振り下ろし、明神君を真っ二つに両断せんと振るわれた刀は地面さえも切り裂き、深々と地面に突き刺さったかのように見えた刹那、その動きよりも一本速く踏み出した明神君の木刀が武藤要の柄を握る拳を捉えた。

 

「…ギィッ…ぐッ…トドメを…!」

 

木刀とはいえ骨をへし折る破壊力を持つ一撃によって武藤要の拳は砕け、もはや勝機は無いと理解したのか。彼は明神君の目の前に座して首を差し出した。

 

「オレの流派は神谷活心流の活人剣だ。誰が好き好んでテメェの命なんざ欲しがるかよ。負けたら死ぬじゃねえ、負けても生きることに命を懸けろ!」

 

「弥彦…」

 

明神君の言葉に感動する神谷さんに明神君は照れ臭そうにしながら戦闘員達に背中を向けず、ゆっくりと「葵屋」の店先に戻って来ようとした、そのときだった。

 

私達の頭上を覆うように、歪な影が出来る。

 

 

 

 

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